書籍:なぜ、システム開発は必ずモメるのか?― 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術

今般は、細川 義洋氏著作「なぜ、システム開発は必ずモメるのか?― 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術」という本を読んでみました。

本書の内容は、「BOOKデータベース」によると、「実に、およそ7割が失敗するというシステム開発プロジェクト。その最悪の結末である「IT訴訟」の事例を参考に、トラブルの予防策と対処法が学べる1冊です。“IT訴訟専門弁護士・塔子”がトラブルを解説するストーリー!」というものです。

下記目次のテーマ毎に、49のトラブル事例が、(美人ではあるものの終始、上から目線の口が悪い)弁護士・塔子とその他の仲間たちによる掛け合いで解説されていきます。


 <目次>
 1 要件定義(「言った・言わない」と「やる・やらない」)
 2 プロジェクト計画と管理(線表だけが、管理じゃない!)
 3 設計(ベンダとユーザが協力すべし)
 4 プログラミング(動けばいいってもんじゃない)
 5 テスト(テストの対象、わかってる?)
 6 契約と仕事の完成(約束したのは何だっけ?)


本書に記載されている内容は至極まっとうな内容であり、判例の解説や掲載されていたチェックリストは参考になりました。

ただ、これは好みの問題かと思いますが、個人的には、本書に出てくるキャラクターとその言葉遣いには最後まで馴染めませんでしたね。もっと普通のキャラの方が需要があると思うんですけど、私には合わないものの、一定の需要があるのでしょうか。

本書のようなラノベ系?の書籍には抵抗がある方や、もっと詳しいトラブル事例を知りたい方は、既にご存知の方が多いかと思いますが、経済産業省がネットで無料配布している「情報システム・ソフトウェア取引トラブル事例集」を参照されてはいかがでしょうか。

http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/softseibi/trouble%20cases.pdf

なお、本書では、システム開発では「準委任」か「請負」のどちらに該当するのかについて、紛争になるケースが多いので、「準委任」、「請負」のどちらの契約類型なのかを契約書に明記すべきと解説されていました。

紙面の都合であえて言及しなかったのかと思いますが、「準委任」、「請負」のどちらの契約なのかを契約書のタイトルや本文に記載したとしても、実際の契約内容が異なれば、裁判所は実際の契約内容を重視してしまいます。

その為、当たり前の話ではありますが、契約書のタイトル等に契約類型を記載して安心せずに、報酬発生時期等、紛争になりそうな個々の条件を契約書にしっかり明記することも忘れずに対応したいものですね。
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BBCが配信している英語ポッドキャスト「English at work」が面白い

先日、本ブログの下記記事にて「ニュースで英会話」というオンラインの英語教材コンテンツを紹介させて頂きました。
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-472.html

私は、しばらく上記コンテンツを使っていたのですが、ニュースだけあって、キャスターの方が一方的に読み上げた内容にやや飽きてきたので、会話型のポッドキャストを探したところ、面白いコンテンツを見つけました。

既にご存知の方も多いかと思いますが、イギリスBBCが配信している「BBC Learning English」という英語学習コンテンツ内の「English at work」がなかなか面白いです。
http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/general/englishatwork/

「English at work」の内容は、プラスチック製の果物模型を販売しているTip Top Trading社に転職してきたアナを主人公としたコメディタッチのオフィスドラマです。

毎回、5分程度の内容で、mp3の音声とpdfのスクリプトが無料で配信されています。現在では、ストーリーの更新は終了していまして、全67話が上記サイトにアーカイブされています。

主人公のアナの脇を固めるのは、以下のような癖のあるメンバー達です。


<主な登場人物>
・いつもカスタードクリームクッキーばかり食べている、優秀なのかどうかいまいち良く分からないマネージャーのポール

・友達と私用電話ばかりしていて一見使えなそうな女性アシスタントだけど、実は会社のことを分かっているデニス

・自信家だけど憎めない、一応、トップセールスマンのトム

・早口でまくしたてるアメリカ訛り?のいけすかないビックボス ソクラテス

・アナが困った事態に陥ると、天の声のように、どこからともなくアナに気の利いたフレーズを教えてくれるナレーター


主に上記のメンバーが、臨場感溢れるオフィストークを交わしてくれますので、楽しんで英語の勉強が出来ます。なお、ところどころで、昼ドラのようにドロドロとした展開になるのかも、と期待させてくれる?のですが、さすがBBCだけあって、最後は綺麗にまとめてくれます。

なお、会話のスピードはそこそこ速いですし、また、日本語の解説は一切無く、分からない表現があれば自分で調べる必要がありますので、中級者以上がターゲットのコンテンツかと思います。

私は、1日1話のペースで進めていまして、現時点で、全67話中、45話まできましたので、全て完了したら、今度は同じく「BBC Learning English」で配信されている「6 Minute English」というコンテンツに移行したいと思います。

上記コンテンツに限らず、ネットには無料で配信されている面白い英語コンテンツがたくさんありますので、自分に合ったコンテンツを探して、楽しく英語学習したいものですね。


<超個人的な備忘メモ(今週読み終わった本)>
宮田敏夫弁護士著作
「弁護士先生!!顧問会社の本当の姿を知ってます?―弁護士が知っておくべき会計・税務」

書籍:訴訟の心得―円滑な進行のために

今般は、弁護士の中村 直人氏著作「訴訟の心得―円滑な進行のために」を読んでみました。

本書は、表題だけ見ると、弁護士向けの本のようですが、私のような法務担当向けの内容にもなっており、下記目次に記載の各テーマについて、弁護士・当事者がどのような心構えで対応すべきか、筆者の経験に基づいた熱い?解説がされており、参考になりました。

早速ですが、毎度の通り、本書で個人的に心に留まった個所を以下に抜粋させて頂きます。

以下は、口頭弁論期日の目的について書かれた箇所の抜粋です。

<本書P77、P78一部抜粋>
相手方の代理人に対して種々釈明を求めたり、要求したり、いろいろ難癖を付けるのが好きな代理人もいる。法廷パフォーマンスである。しかしこれは訴訟観が違っている。
筆者が思うに、訴訟は、原告と被告が戦っているのではない。原告が裁判官を説得しようとし、被告も裁判官を説得しようとし、裁判官がどちらがより合理的かを判断する作業である。相手方は、裁判官である。裁判官を説得するのが仕事だと認識すれば、相手方代理人にいちゃもんを付けても意味はなく、むしろ裁判官の心証を知ることが最大の目的であることが分かる。

さらに法廷で、演説してみたり、大げさな仕草をしてみたり、色々な傍聴席向けのパフォーマンスをする弁護士もいる。訴訟の上では全く意味がないことである。それを知らない依頼者が、「うちの先生はいっぱい頑張ってくれた」などと喜んだりするが、企業法務の担当者であれば、そういうものにごまかされないことだ。
<抜粋終了>

私の少ない訴訟経験からしても、上記のようなパフォーマンスをしてくる代理人に遭遇した機会がありました。

法廷内での相手方当事者(偉い人)の発言に対して、(主任弁護士ではなくボス弁で、ろくに主張書面を読んでいないと思われる)相手方代理人弁護士が、腕組みをして踏ん反り返りながら、相手方当事者(偉い人)の発言に乗っかる形で、何の証拠も無い話をイメージだけで主張し(具体的なことを書けずすみません・・。)、後で、相手方当事者(偉い人)の発言に一部誤りがあり、訂正する羽目になるシーンに遭遇したことがありました。

社内の打ち合わせならいざ知らず、ろくな証拠も無いのに、法廷の場で依頼者の機嫌を取る弁護士の姿勢は如何なものかと考えさせられました。

パフォーマンスはパフォーマンスと割り切った上でやるのはまだ良いかと思いますが、陪審制ではない日本において、裁判官が最終的に判断する裁判においては、あくまで、裁判官の心証を一番に考えるべきという筆者の主張はその通りですね。

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次は、本書内で、反対尋問について書かれた箇所について、以下の通り抜粋させて頂きます。

<本書P125一部抜粋>
前章では、威嚇的質問であるとか、誘導質問であるとか、揚げ足取り質問であるとか、いかがわしい反対尋問の例をたくさん挙げたけれども、裁判官はそういうことが行われても、それで証人の信用力がないなどという心証の取り方はしていない。裁判官は、大きなストーリーの中で、矛盾がないか、不自然なこと、経験則に反することあるんじゃないか、ということを見ている。そこで些末な言い回しの違いがあったとか、感情的になって過剰な表現をしたとか、冷や汗をかいていたとか、動揺していたとか、そういうことで事実の認定をしない。
<抜粋終了>

<本書P130一部抜粋>
裁判官は証人の信用性をどう測っているのか。
すでに述べたが、判決の手順は、動かしがたい事実を拾い出し、ストーリーを組み立て、当事者の整合性を検証することである。争いがある場合に、一個一個の事実を認定するためには、処分証書があるか、または十分な間接事実の積み重ねがあるかである。そして証人は、そのストーリー全体の自然らしさ、整合性を検証するために重要ということになる。
逆に言うと、まず証人の証言だけで、何も間接事実もない主要事実を認定することなど無理である。そんなことは期待できない。
<抜粋終了>

証人尋問をする場合は、事前に、弁護士と一緒に、証人の事前練習というか、記憶の喚起をするわけですが、特に証人がこれまで証人になった経験が無い場合、証言する内容が過去の記憶に基づいた内容であることとから、事前練習した通りにはなかなか発言してくれません。

そんな時、証人尋問に立ち会っていた私のような訴訟経験の浅い法務担当としては、証人の個々の発言に一喜一憂してしまうものです。

一方、証人としても、「想定外の質問を聞かれて、トンチンカンな発言をしちゃってすみません。あの発言はまずかったですかね。動揺して声をぼそぼそ小さい声になっちゃったし。」と反省している一方で、証人尋問の出来栄えを当方側代理人弁護士に確認してみると、「何の問題もありませんでした。ほぼ完ぺきな内容でした。」と言われて、弁護士と当方・証人間の出来栄えに対する認識にギャップを感じることがありました。

今回、本書にて、証人尋問は、裁判官が、証人の発言が、当初、自身が思い描いていたストーリーと矛盾することは無いか、という大きな視点から証人の発言を捉えていることを知り、合点がいきました。

今度、私の会社が当事者として証人尋問を行う機会があれば、上記を念頭に置いて臨みたいと思います。

<目次>
第1章 訴訟の見立て
第2章 主張
第3章 証拠
第4章 期日
第5章 証人尋問
第6章 判決対応
第7章 企業訴訟関連の判決とその特徴
第8章 和解

P.S.
これから読む本を探している時に、「あれ。この本は面白そうだけど、以前、読んだような気がするなぁ。どっちだっけなぁ。」と感じることがたまにあります。

その際に、本ブログを検索すれば、読んだか読んでないかを知ることが出来るよう、超個人的なメモとして、最近読んだ本を以下に列挙しておきたいと思います。

・自分で考えるちょっと違った法学入門(著者:道垣内 正人氏)
・企業法務のための金融商品取引法(著者:宮下 央氏)
・ファイナンシャル ビジネス法務入門 これからの法律屋は
決算書が読めないと仕事になりません(著者:河村 寛治氏)
・下町M&A 中小企業の生き残り戦略(著者:川原 愼一氏)

ストーリーで学ぶ「債権譲渡契約」の締結時の留意点

最近、育児が忙しくてブログの更新を怠っていましたが(と、ここで良き夫をアピールしてみる)、そろそろ更新しないとなぁ、ということで、久々に更新してみました。

今回の記事は、「債権回収をする上で債権譲渡という方法を使うケースがありますが、債権譲渡契約書の構成には気をつけましょうね」というお話です。

以下の話しは架空のストーリーで、私が所属している会社とは何の関係もありません。。

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【前提条件】
A社は、B社に対して商品の売買代金債権を有しているが、B社は当該債務を不履行している。B社の業績は非常に悪く、上記債務の支払いの目処は立っていない。

そこで、A社は、債権回収の一環として、B社がC社に対して有している債権を譲受し、第三債務者であるC社に対して、B社の代理人として債権譲渡通知書を内容証明郵便で送付した。

するとA社は、C社から以下の通り主張された。

「御社(A社)だけでなく、複数の者から、B社のC社に対する債権を譲受したとして、債権譲渡通知書を受領しているので、誰に支払えばいいのか分からない。もし、当社(C社)が御社(A社)に支払った後に、万一、その支払いが法的に無効だった場合、当社(C社)は二重払いのリスクがあるので、御社(A社)には支払えない。」

そこで、A社はC社に対して、

「複数の確定日付のある債権譲渡通知書を受領した場合は、一番初めに受領した債権譲渡通知に関する譲渡人が対抗要件を有するので、受領時期を確認して欲しい。」

と伝えたが、「たくさん到着していて、いつ到着したのか正確には分からない。」と言われてしまった。

ひょっとしたら、第三債務者であるC社は、これをいい機会に、このままB社に対して有していた支払い債務を踏み倒すことを検討しているのかもしれない。

なお、C社が、複数の者から受領していると主張している債権譲渡通知書は、確定日付がついておらず、単純な支払いを求めるレターの可能性もあるが、A社がC社に、他社から受領している債権譲渡通知書を見せて欲しいと言っても、そんな義理は無いとして承諾してくれない。

【設問】
このようなケースの場合、A社はどのように対応すれば良いでしょうか。









【考察】
A社の一つの選択肢をしては、C社に対して「供託」するよう提案することでしょうね。

ただ、C社は、B社に対する支払い債務を踏み倒す覚悟をしているとすれば、そんな提案は無視されてしまうかもしれません。

また、仮に、C社がA社の提案通りに「債権者不覚知」を理由として「供託」した場合(供託出来るのか、という問題はとりあえず置いておきます)、供託金の払い渡し請求をする者は、「債権者不覚知が解消されたことを証明する書類」を供託所(法務局)に提出する必要があります。

なお、法務省が公表している「供託物を払渡請求する際の一般的注意事項」には、以下の通り記載されています。
http://www.moj.go.jp/content/000063523.pdf

<以下、上記書面抜粋>
4 〔還付を受ける(又は取戻しをする)権利を有することを証する書面〕
弁済供託について,供託受諾や供託不受諾を理由に払渡しを受ける場合など,供託書の記載から即時に供託物の払渡しを受けられることが明らかな場合のほかは,還付を受ける権利を有することを証する書面又は取戻しをする権利を有することを証する書面の添付を必要とします。

以下に代表的な書面を記しますが,個々の事案により添付すべき具体的な書面も異なりますので,詳しくは最寄りの供託所にお尋ねください。

(1) 利害関係人の承諾書
払渡請求をする場合において,利害関係を有する者がいるときには,当該利害関係人の承諾書を添付する場合があります。当該承諾書を添付する場合には,承諾書に押した印鑑について,市区町村長又は登記所の作成した印鑑証明書(当該承諾書の作成前3ヵ月以内又は当該承諾書の作成後に作成されたものに限る。)を添付しなければなりません。また,利害関係人が法人である場合には,これに加えて代表者の資格証明書(当該承諾書の作成前3ヵ月以内又は当該承諾書の作成後に作成されたものに限る。)を添付しなければなりません。

(2) 権利の承継を証する書面
請求者が権利の承継人であるときには,これを証する書面(例えば「戸籍謄本」など)を添付します。

(3) 判決書正本及び確定証明書
還付請求権(又は取戻請求権)の確認訴訟において,当該請求権を確認する判決がされ,当該判決が確定したときは,判決書正本及び確定証明書を添付します。
<抜粋終了>

ということで、「債権者不覚知」を理由に供託された場合、A社は、他の被供託者から「A社が代金を受領する正当な権利があることの同意書」や、判決書等を証拠として提出しないと、供託金が払い渡しされないことになりますので、これはまたハードルが高いですね。

そこで、ダメもとで、C社に対して債権の支払いを求める訴訟を提起し、文書提出命令にて、C社が受領したとされる債権譲渡通知書を開示するよう要請する選択肢もあるかもしれません。

しかし、裁判を起こした結果、実際には他の者が対抗要件を取得していて、訴訟の申し立て費用が無駄になる可能性もあるわけです。

【結論】
ということで、結論としては、債権を複数譲渡された場合は、債権の一譲受人としてはお手上げ状態ということですかね。譲渡を受けた債権が高額で、ダメもとで裁判を起こすメリットがある場合は、裁判という選択肢もありかとおもいますが。

第三債務者がずる賢い人であることも想定して、上記ケースの通り、債務者と債権譲渡契約を締結する場合には、あくまでA社が第三債務者であるC社から債権の支払いを得られた段階で、B社のA社に対する弁済の効力が得られる旨、債権譲渡契約書に定めるべきであり、間違っても、債権を譲渡した段階で、譲渡代金と同額について、B社のA社に対する弁済が完了する、というような内容にするのは止めましょう、というお話でした。

「他にこんな選択肢があるのでは」という方がいましたらご指摘ください。。

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主に、週末にブログを更新する予定です。

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