ガバナンス報告書の更新時期に留意(ビジネス法務 2015年6月号)

先日、ビジネス法務 2015年6月号を読み終わりました。

2015年6月号では、「コーポレートガバナンス総点検」という特集が組まれておりまして、この特集の中で、東証 上場部 企画担当調査役 佐藤寿彦氏が書かれた「コーポレートガバナンス・コード策定に伴う東証の上場制度整備」が心に留まりましたので、以下に一部を抜粋させて頂きます。


<本紙抜粋>
5 ガバナンス報告書の更新時期
(中略)
(2)初回の特例
コードの制定に伴い新設される2つの記載欄については、コードの適用開始後の初回の提出時の取扱いに特例を設ける。すなわち、2015年6月1日以降に最初に到来する定時株主総会の日後準備ができ次第速やかに(遅くとも当該定時株主総会の日から6か月が経過するまでに)記載すれば良い。6月総会の会社であれば、最長で2015年12月まで初回の記載のための準備期間の猶予がある。既存の記載欄については、通常どおり、定時株主総会の日後遅滞なく更新が必要であるので、留意が必要である。
<抜粋終了>


ということで、猶予期間があっても、既存の要記載項目については、例年通り、株主総会の日後遅滞なく提出しなければならないようで、今年は二段階での提出となるようです。新設事項も含めて、株主総会の日後遅滞なく提出する、という選択肢もあるかとは思いますが。

2015年3月8日に、本ブログに「コーポレートガバナンス・コードに関して『公表・開示・説明』を要する記載事項」という記事を掲載した時点までは、(私が見聞きした)ネットや紙媒体、セミナー等では、今年は特例措置により、「コーポレートガバナンス報告書の提出は今年中でおk」ということをクローズアップするあまり、「既存の要記載項目については、例年通り、株主総会の日後遅滞なく提出が必要」という点の説明を省いているものが散見されました。

そこで、2015年3月中旬あたりに東証が開催した「コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備と実務上の取扱いの見直し」という説明会に参加するまでは、当社内では、「今年は、新設項目はあるものの、(既存の要記載項目も含めて)コーポレートガバナンス報告書は今年の末までに出せばいいようだし、楽でいいね。」ということで、みんな呑気に考えていましたが、考えが甘かったようです(笑)

コーポレートガバナンス・コードの策定や会社法改正に限らず、制度が新設・改正される際には、経過措置や特例措置がつきものですが、その道の専門家ですら、新設・改正案が出回り始めた当初は、「あくまで筆者(講師)の個人的な意見であり、所属する団体・組織等の意見を代表するものではないことを予めご了承ください。詳細については、顧問弁護士等にお問い合わせ下さい」ということを免罪符にして、曖昧、紛らわしいことを書く、言う人もいますので、留意が必要ですね。

と、人のせいにするだけでなく、正確な知識を得るべく、自分でも裏をとる作業、調査を怠らないようにしたいと思います・・。

ビジネス法務 2015年 06 月号 [雑誌]ビジネス法務 2015年 06 月号 [雑誌]
(2015/04/21)
不明

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和解契約には、紛争の発生から和解に至った事情や経緯、動機などを詳しく書くべし

今般は、佐藤孝幸氏著作「実務 契約法講義 第4版(2012年8月発行)」を読んでみました。
本当は民法改正後に、第5版が出てから読もうと考えていましたが、待ちきれずに読んでしまいました。

本書の内容は、「BOOK」データベースよりますと、「実務の視点から体系化された理論と紛争処理の指針を明示。第4版では、重要判例を追録するとともに、取引実情の変化、最新の実務の動向を踏まえて、大幅改訂増補。弁護士等の実務家、企業の法務担当者、法科大学院生のための各種契約形態の基礎知識と実務を明示した必携書」です。手抜きですみません・・。

下記目次の通り、色々な契約書について、30超の事例を基に解説がされています。
早速ですが、個人的に心に留まった個所を以下に抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋>
この問題に関し、最高裁は、全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、少額の賠償金で早急に解決を図る趣旨で、示談が成立した場合には、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時、被害者が予想していた損害についてのみであると解するべきであって、示談当時、被害者の予想できなかった不測の再手術や後遺症が示談成立後に発生した場合には、その損害についてまで、損害賠償請求権を放棄した趣旨と解することは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえないと判示し、示談(和解契約)の効力を認めたうえで、被害者の後遺症害に関する損害については、別途、損害賠償請求を認めた(最判昭和43.3.15民集22巻3号587頁 注30)
注30 賀茂紀久男「示談と事情変更」判夕268号184頁
<抜粋終了>

ということで、せっかく和解契約を締結したのに、後々、相手方から紛争を蒸し返しされることを防ぐべく、和解契約には、紛争の発生から和解に至った事情や経緯、動機などを詳しく書くべし、と著者は主張します。

上記はその通りですね。

私は、営業担当から、「製品の不具合に関する示談書のドラフトを作成したのでチェックして欲しい」と依頼されることがたまにあります。しかし、見てみると大概が、和解に至った事情や経緯、動機がほとんど書かれておらず、単純に、「○○問題について○○円を支払う」しか書かれていません・・。

和解契約書も当然のことながら、(裁判や仲裁で一番重要視される書証である)契約書の一種なので、最悪、和解契約書に関連して裁判や仲裁に発展した場合に、第三者(裁判官や仲裁人)が目の前の契約書をどう判断するのか、という視点から、契約書をドラフトする必要がありますね。

また、和解契約に限らず、単純な売買契約を除いて、何らかの契約書をドラフトする場合にも、英文契約書に良くあるWhereas条項のように、当該契約の締結に至った事情や経緯、動機を詳しく記載すべきですね。後々、裁判や仲裁で、契約の奥にある背景が争点になることもありますからね(過去に苦い経験あり・・。)

<目次>
契約法実務序論
契約の成立
契約存続中における実務上の問題
契約関係の終了
契約当事者間の紛争解決と和解契約
財産権の移転に関する契約
 売買契約
 不動産売買契約
 事業譲渡契約
 債権譲渡契約
金銭の貸借に関する契約
 金銭消費貸借契約(融資契約)
 リース契約
物の貸借に関する契約
 賃貸者契約
 サブリース契約
権利の使用・実施に関する契約
 ライセンス契約
 フランチャイズ契約
 販売店・特約店・代理店契約
他人の役務の利用に関する契約
 雇用契約(労働契約)
 請負契約
 委任契約
 寄託契約
債権の担保とリスクの分散に関する契約
 保証契約
 損失補償契約
 履行保証
 債務引受契約
 担保権設定契約-抵当権設定契約
 保険契約
企業間の共同事業に関する契約
 合弁契約
 共同研究開発契約

実務契約法講義 (実務法律講義)実務契約法講義 (実務法律講義)
(2012/08)
佐藤 孝幸

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特許に関する「包袋」とは?(書籍:技術法務のススメ)

鮫島 正洋弁護士著作の「技術法務のススメ―事業戦略から考える知財・契約プラクティス」という本を読んでみました。

早速ですが、本書の概要についてはアマゾンにお任せするとして、本書について、個人的に参考になった箇所を以下に書きとめておきたいと思います。

<以下、本書抜粋>
私どもは、特許問題を扱う場合には、登録原簿だけではなくて、必ず包袋を取り寄せるようにしています。「包袋」とはなじみのない言葉かもしれませんが、これは特許出願が特許されていく過程のやり取りに関する全記録であり、平たく言うと、ある特許にかかる出願人・特許庁間の交信記録のようなイメージです。包袋を調べてみると、以下のようなことが分かります。
<抜粋終了>

ということで、上記抜粋の後に、包袋に記載されている内容の解説と、また、「包袋閲覧申請の仕方」というコラムでは、2003年7月以降の包袋に関しては、特許電子図書間(IPDL)の「審査書類情報照会」から閲覧可能であり、それ以前のものについては、登録原簿と同様、インターネット出願ソフトからオンライン申請が可能な旨、解説されておりました。

これまで、特許出願の「経過情報」についてはIPDLで何度か閲覧したことはありましたが、特許実務に疎いこともあり、「包袋」の存在は知りませんでした。

なお、特許電子図書間(IPDL)は、2015年3月20日付でサービスを停止しており、同日付で特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)というサービスに移行していますが、このサービスにおいても、特定の特許を検索すると、「審査書類情報照会」という画面があり、特許にもよりますが、以下のような情報が閲覧可能なようです。

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このように、特許の内容だけでなく、登録査定される過程まで丸裸されてしまうんですね。

「審査書類情報照会」の機能を、今後、私が業務で使うことは、今のところ想定されませんが、この機能の存在について頭の片隅に入れておきたいと思います。

上記抜粋箇所の他は、本書について、以下の2点が参考というか、個人的に心に留まりました。

1.技術指導という目に見えない役務提供に関する契約書を作成する場合には、「技術指導」の定義と、いつの時点で「技術指導」の履行が完了したことになるのかを明確にする必要がある、ということを再確認させられたこと(過去に苦い経験あり・・)

2.秘密保持契約や、技術資料の提供に関する契約書を締結して情報を授受する場合は、「出来れば」、該当する情報を授受する都度、その情報のリスト(書類名、授受した日・人等)を作成した方が良いということ。
これをやらないと、後々、裁判や仲裁で、いつの時点で情報を授受したのかについて、当事者間で意見の相違が発生することがある、ということを再確認させられたこと(過去に苦い経験あり・・)

<目次>
第1章 技術法務のススメ―この本で何を伝えたいのか世の中に技術法務
     という概念が必要であること
     (マーケットは常に歪んでいる…;技術法務のススメ ほか)
第2章 知財戦略を実現する
     (知財戦略セオリ編;知財マネジメントプラクティス編)
第3章 勝つ!リーガル・プラクティス
     (実践的契約書の起案法;特許ライセンス契約 ほか)
第4章 技術法務の真髄
     (社内の知財マネジメント体制を整備した例;知財の分析・
     コンサルティング例 ほか)

技術法務のススメ―事業戦略から考える知財・契約プラクティス技術法務のススメ―事業戦略から考える知財・契約プラクティス
(2014/07/01)
鮫島 正洋

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改正後も社外取締役・社外監査役の登記が必要な場合あり(ビジ法 2015年5月号)

遅ればせながら、雑誌「ビジネス法務」2015年5月号を読み終わりました。

2015年5月号では、鈴木龍介司法書士が書かれた「実務解説 2つの改正で変わる登記実務 ~会社法・商業登記規則・最新動向~」という記事が掲載されていまして、個人的に参考になりましたので、その箇所を以下に書き留めておきたいと思います。

<上記記事の一部抜粋>
①登記事項
 改正会社法施行後は、新要件に基づき、社外取締役・社外監査役である旨の登記を行うこととなる(会社法911条第3項18号・21号ハ、改正会社法911条3項22号ロ・23号イ)。なお、後述するが、責任限定契約に関する社外取締役・社外監査役である旨の登記(会社法911条3項25号・26号)にかかる規定は削除された。したがって、(以下、記載を省略)
<抜粋終了>

ということで、「責任限定契約に関する社外取締役・社外監査役である旨の登記」は不要になったものの、例えば、(私が所属している会社のような)監査役会設置会社では、会社法911条第3項18号に基づき、社外監査役の登記はしなければならないので、結局、社外監査役の登記は不要にはならないことになります。

昨今、ネットや紙媒体等で、改正会社法の話が多く取り上げられておりますが、上記の登記が不要になる話は色々なところで目にします。

しかし、上記登記が不要である旨をクローズアップするあまり、他の要件に該当して、結局、社外取締役やら社外監査役の登記が必要となる場合がある、という点が説明不足になっているものも中にはあります。

上記は自明なものとして、上記登記が不要となる旨を解説しているのであり、(私のように、今年から会社法務に深く関わることになったような)会社法の勉強不足のヤツが悪いのかもしれませんが、ビジネス法務 2015年5月号の上記記事のように、細かいところまでしっかりと解説してくれる記事は助かりますね。

この時期、改正会社法の内容については、まだ、キャッチアップしきれていない諸先輩方も沢山いるかと思いますので、改正内容の習得に限っては諸先輩方と同じスタートラインにいるということで(私には基になる会社法の知識が少ないので、キャッチアップのスピードでは太刀打ち出来ませんが・・)、早急に勉強を進めていきたいと思います。

<備考>
上述の通り、今回の会社法改正により、「責任限定契約の締結についての定款の定めがある場合の社外取締役・社外監査役である旨の登記」は不要となりますが、改正法附則第22条に基づき、当該登記に係る取締役・監査役の任期中に限り、当該登記の抹消をすることは必要ありません。既にご承知の話かとは思いますが、念の為、記載しておきました。

ビジネス法務 2015年 05 月号 [雑誌]ビジネス法務 2015年 05 月号 [雑誌]
(2015/03/20)
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貿易実務検定B級に合格しますた。

先日、3月1日(日)に貿易実事務検定B級を受験した旨、記事を書きましたが、合格していましたので、合格表のコピーを掲載しておきたいと思います。

この合格率が高い資格を取ったからと言って、将来の転職に有利になるとは全く考えていませんが、こうして、少しでも努力したことが形になるのは、努力する甲斐があるし、いいもんですね。

今後とも、資格マニアと揶揄されながらも、勉強に対するモチベーション維持の為に、仕事に役立つ何らかの資格を取得し続けていきたと思います。

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