書籍:超実践 債権回収保全・回収バイブル

11月28日(金)は、レクシスネクシス社が主催の「応用編 現場実践型 債権回収のススメ」という題目のセミナーに参加してきました。

講師は、ユニリーバ 代表取締役 ジェネラルカウンセル 北島氏と、TMI総合法律事務所 淵邊弁護士です。

このセミナーは、複数のケースを題材にして、両氏がディスカッション、解説していくというスタイルで、長年の経験に裏打ちされた興味深いお話が聞けて参考になりました。

また、セミナーの参加者には、以前からずっと読みたいと思っていたけど、アマゾンのマーケットプライスにはなかなか安値で売りに出されず、また、近場の図書館で貸し出し可能とならずに手が出せなかった、両氏が編著した「超実践 債権回収保全・回収バイブル 基本のマインドと緊急時のマインド」が無料で貰えて良かったです。

ちなみに、本書を貰うことがこのセミナーの一番の参加目的でした・・。本書の定価が3,500円のところ、セミナーの参加費が5,400円とかなりお得でした。

さて、上記書籍を早速全て読んでみましたが、本書で参考になったのは、主に、

1.日本法上、知的財産権(特許等)を担保物とした担保設定が可能であること。
  ※本書に担保設定方法等の詳細について解説あり。類書には無い特徴ですね。

2.中国には、日本の内容証明郵便に相当する制度が無い中、どうしても
  書面通知した内容を証明する必要がある場合は、中国の公証人を、
  通知の封緘と発送に立ち合わせて、公証人が確認した内容通りの通知が、
  特定の日時と場所において封緘と発送されたことを公証して貰うことで
  代替可能であること。

という点です。

また、今回のセミナーのテーマとは若干異なりますが、ライセンス契約におけるランニング・ロイヤリティの金額は、ライセンシーから報告を受ける取引金額等の数字がベースとなっていることが一般的ですが、ライセンサーが外部の専門家に委託して、ロイヤルティ金額が適正かどうかを確認する、ロイヤルティ監査について本書で解説されておりました。その箇所の一部を抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋>
2 ロイヤルティ監査の実態

デロイト トウシュ トーマツ・グループによると、監査案件のうち70~90%の案件においてロイヤルティ計算ミスが発見されており、過少申告の額は平均して25~30%であるとのことです。計算ミスのほとんどは、契約条項が曖昧なことに起因します(対象製品、価格、控除対象費目、子会社・系列会社との取引の取り扱い等)。中には、意図的に過少申告しているケースもあります。
<抜粋終了>

結構計算ミスがあるんですね。

私の所属会社では、ライセンス契約を締結することは稀ですが(IT系ソフトウェアの購入等を除きます)、コミッションの授受に関する契約書や、販売権の付与に関する契約書を締結するケースは多々あり、上記契約はライセンス契約とはもちろん契約の性質は異なりますが、上記抜粋箇所内の「子会社・系列会社との取引の取り扱い」は十分気をつけたいと常々考えています。

当社は商社なのですが、当社の営業活動の結果、顧客と仕入先を結びつけて取引を開始出来たものの、しばらく経って、仕入先が当社を中抜きして、当社が開拓した顧客と直接取引を開始しようと動くことがあります。日本企業よりは外国資本の仕入先に良くある話です。

たいがいが、(当社と信頼関係のある)当社の顧客が拒否して、仕入先の上記画策は失敗するものの、上記動きを予め封じる為、当社と仕入先との間で、当社が開拓した顧客向けに仕入先が製品を供給する場合には、必ず当社を介して取引する旨を定めた覚書を締結するケースがたまにあります。もちろん、下請法や独占禁止法に抵触しないよう気をつけて上記制限を定めます。

この場合、「当社が開拓した顧客」というような曖昧な表現ですと、例えば、当該顧客の都合により、当該顧客の製造拠点(別法人)や、当該顧客のOEM先(別法人)に対して製品を供給することになった場合、当社は販売権を得ることが出来るのか不明瞭となります。

上記に限らず、お金の発生する事項を定めた条文周りでは、想像力を膨らませて、言葉の定義には十分気をつけたいものですね。

やや本書の内容から話がそれてしまいましたが、せっかくここまで書いたので、UPしたいと思います。。

超実践 債権保全・回収バイブル―基本のマインドと緊急時のアクション Debt Collection Bible, Mindset and Emergency Actions超実践 債権保全・回収バイブル―基本のマインドと緊急時のアクション Debt Collection Bible, Mindset and Emergency Actions
(2014/03/26)
北島 敬之、淵邊 善彦 他

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書籍:中国のビジネス実務判例から学ぶ契約書の作成と運用Q&A100

今般は、韓晏元弁護士著作の「中国のビジネス実務判例から学ぶ契約書の作成と運用Q&A100」という本を読んでみました。

韓 晏元弁護士の著作については、以前、「中国のビジネス実務 債権管理・保全・回収Q&A100」という本を読んだことがあり、読書後の備忘メモを本ブログに書かせて頂きましたが、今回の書籍も上記書籍と同様、Q&A方式となっており、分かりやすい構成と解説振りで、非常に参考になりました。

本書に付箋をした箇所はいくつかありますが、その中の2箇所を、備忘の為に以下に抜粋させて頂きます。

--------------------------------------------

1.検品期間満了後の異議申立の可能性について

<以下、本書抜粋(p177)>
契約法158条では、「買主が合理的期間内に通知せず、又は目的物を受領した日より起算して2年以内に売主に通知しない場合、目的物の数量及び品質は契約の約定に合致しているものとみなされる。」と定めています。また、中国の最高人民法院は、「合理的期間は目的物受領から2年を超えない」、「約定した検品期間が短すぎて、目的物の性質及び取引習慣により買主が当該検品期間内に全面的な検査を行うことが難しい場合、約定した検品期間は目的物の外観瑕疵に対する品質異議申立期間と認定すべきであり、裁判所が目的物の隠れた瑕疵につき異議申立の合理的期間を別途定める」との司法解釈を出しています(最高人民法院の売買契約紛争案件の審理における法律適用問題に関する解釈18条)。
つまり、検品期間が約定されていない場合又は約定されている検品期間が短すぎて当該検品期間内に隠れた瑕疵を発見出来ない場合、買主は「合理的期間内に」品質異議申立を行わなければ売主の瑕疵担保責任を追及できなくなります。
<抜粋終了>

<上記に関する備忘メモ>
本書には契約法158条の条文の記載がありませんでしたので、ネットでUPされている日本語訳を参照したところ、本条はどうやら任意規定のようで、契約書に品質保証期間を別途定めていた場合は、当該定めが優先適用されるようです。

その為、契約書に2年間を超える品質保証期間を定めていた場合、当該期間は「合理的期間内」ではないとして、裁判所で当該定めが無効になるという心配は無さそうです。

なお、以前、「中国法における(1)不安の抗弁権と(2)売買契約の売主の担保責任について」という記事を書いた際にも記載の通り、契約法158条はあくまで売買契約に関する品質保証期間の定めとなります。

請負契約に関する品質保証責任については、契約法 第15章(請負契約)第262条に、請負人の成果物に対する担保責任が定められているものの、具体的な担保責任期間については明記されていません。

本書には、「請負契約」に関する品質保証期間のQ&Aや解説はありませんでしたので、「請負契約」の場合の品質保証期間はどうなるのか分かりませんので、上記問題については、他の中国法令に関する書籍をあたってみたいと思います。

また、「契約法」に定める品質保証義務と、「製品品質法」に定める品質保証義務の区分け・相違点がいまいち個人的に理解出来ておりませんので、請負の場合の品質保証期間と合わせて、今後の個人的な課題としていきたいと思います。

--------------------------------------------

2.秘密保持義務違反の場合の賠償金額について

<以下、本書抜粋(p287)>
秘密保持義務の追求方法

秘密保持義務者が契約に違反した場合、当該義務者に対して損害賠償を求めることができます。秘密保持契約書に損害金額が定められていればよいですが、損害金額の証明が困難である場合には、裁判所は特許権侵害時の損害賠償金額を参照して最大100万人民元までは損害賠償を命じることができます(最高人民法院の不正競争防止民事案件審理における法律適用若干問題に関する解釈17条1項)
<抜粋終了>

<上記に関する備忘メモ>
上記抜粋の通り、契約書に、秘密保持義務違反について具体的な違約金を定めておかないと、賠償額は100万人民元が上限になってしまうようですね。

重要な秘密情報が漏洩した場合、漏洩された側が被る損害は「100万人民元」では済まないケースも想定されますので、特に自社が秘密情報の主な開示者の場合は、具体的な違約金の定めを契約書に設けたいところですね。

ただ、

(1)じゃあ、上限は「100,000万人民元」とでもしておけば良いのか
(2)あまりに高い上限を設けた場合、裁判所に当該定めが無効とされる
   可能性はないのか
(3)裁判所が合理的な範囲内と認めてくれる上限がいくらなのか
(4)自社が秘密情報の主な開示者である場合で、中国法人の取引先から
   NDAのフォーマットを提示された場合、そのNDAに、例えば、違約金を
   「1,000万人民元」と追加するよう法務部門から営業部門に提案した場合、
   当社の営業担当やその先の取引先はどう思うのか。
   上記提案をすることで、ビジネスを潰すことにならないか。

等、いろいろと悩みはつきませんが、上記抜粋部分の定めがあることだけは常に意識しながら、中国法人の取引先との契約書に関する審査をしていきたいと思います。

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<目次>
第1部 総論
第2部 各論
第3部 コンプライアンス

中国のビジネス実務 判例から学ぶ契約書の作成と運用 Q&A100中国のビジネス実務 判例から学ぶ契約書の作成と運用 Q&A100
(2014/10/02)
韓 晏元

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ライセンスの本質はライセンサーの差止請求権の放棄

今般は、安保智勇弁護士編著の「初心者でもわかる! LawLゆいの英文契約書入門」という本を読んでみました。

本書では、日本茶関連製品を扱う会社(株式会社ティーシード)に勤務する法務部長の福山と、新人法務部員の石原ゆいの巧妙な掛け合い(会話形式)を通して、英文契約書の基礎知識が解説されています。

本書の表紙には、ライトノベルのような萌絵が使われていることから、(誠に失礼ながら)読書前は、表紙で売るタイプの内容が薄い本なのではないかと思いながら本を取りました。じゃあ、手に取るなよという声が聞こえてきそうですが、何か1行でも参考になる箇所があればいいなと思い、本書を手に取りました。

しかし、読んでみましたら、英文契約書の特徴、一般条項からライセンス契約書の説明まで、判例を参照しながら丁寧に解説されており、内容は至ってしっかりしたものでした(何か偉そうですみません・・。)

本書にて、個人的に非常に参考になった個所がありましたので、以下に抜粋させて頂きます。

以下の抜粋箇所は、「知的財産権非侵害表明保証条項の留意点」の解説箇所で、新人法務部員の「ゆい」が勤務する株式会社ティーシードが、同社が有する技術について、第三者からライセンス付与の依頼を受け、ライセンス契約の交渉中に、「ライセンス料を支払う以上、第三者の権利を侵害して使えない技術じゃ意味がない!」と、ライセンシー候補者から非侵害保証条項の追記を主張された場面の一コマです。

ゆいは、ライセンシー候補者の意見に一応の理解を示し、「法律上、ライセンスする以上は、第三者の知的財産権を黙示的に保証したことになると思う」と法務部長の福山に主張して、その根拠として、米国統一商法典(UCC)を挙げましたが、しかし、福山に以下の通り一蹴されています。

UCC 第2-312条
Warranty of Title and Against Infringement; Buyer’s Obligation Against Infringement.
(3) Unless otherwise agreed a seller who is a merchant regularly dealing in goods of
  the kind warrants that the goods shall be delivered free of the rightful claim of
  any third person by way of infringement or the like

<以下、本書抜粋>
部長 君には珍しく「法律的」な議論だ。この米国統一商法典の
    規定なんてよく覚えていたね。
    でも残念ながら、君の議論は間違っている。
    仮に、今回のラインセンス契約に米国法が適用されるとしても
    この規定によってライセンス契約のライセンサーの技術について
    権利非侵害の黙示の保証をすることにはならない。
ゆい どうしてですか?
部長 この規定は商品の売買の場合にだけ適用され、売買契約の
    性質を有しない契約には適用されないと裁判所では
    解釈されているからだ。
(中略)
部長 相手方の主張に対する反論ならライセンス契約の本質から
    説明すれば可能だろう。そもそも知的財産権のライセンスとは、
    「ライセンサーが有する知的財産権を使うなといえる権利を
    ランセイサーに行使しない」という、ライセンサーと
    ライセンシー間の約束にすぎない。
    ライセンサーの権利が第三者の権利の範囲に含まれるかどうかは、
    このようなライセンス契約の本質とは関係がないことだ。
<抜粋終了>

先日、私は、「ビジネスロー・ジャーナル2014年11月号」のある特集を基に、「購入製品が第三者の権利を侵害」=「隠れた瑕疵」?という記事を書きましたが、その中で、

特許権そのものを取引対象としたライセンス契約ですら、「特許権の無効はライセンシーにおいて通常予測すべきリスクとして隠れた瑕疵には当たら」ないということが通説となっているようですので、モノの取引に付随して買主が第三者の知的財産権を侵害したとしても、買主は売主に担保責任を追及することは出来ないのでしょうね。

と記載しました。

ある意味、「ゆい」とは逆のアプローチで、モノの取引に付随して買主が第三者の知的財産権を侵害したとしても、買主は売主に担保責任を追及することは出来ない、と一人で勝手に結論づけて悦に入っておりましたが、日本法は別として、少なくとも米国統一商法典(UCC)には、上記ケースで買主を保護する規定があったんですね・・orz
これは完全に勉強不足でした。

ライセンスを付与された(^o^)/ なんて言いますと、何か権利を得た気になりますが、特に米国法上(米国法という表現の良し悪しは置いておいて)、ライセンスの本質とは、ライセンサーの差止請求権の放棄であるようですので、同じ有償契約とはいえ、売買契約とライセンス契約を同列として扱うことは難しいようですね。

中途半端な知識が一番厄介である、とは良く言われることですが、このライセンス回りについて、私はまだまだまだ力量不足ですので、これを機に勉強を進めてみたいと思います。。

P.S.
いつも拝読している、はっしーさんが運営している「マンサバ」の最近の記事にて、ライセンスに関する参考図書が紹介されておりましたので、まずは上記書籍から読み込んでみたいと思います。

<目次>
第1章 英文契約書序論
(英文契約書のドラフトは誰が作る?;英文契約書に
よく使用される表現)
第2章 英文売買契約書の重要条項
(国際取引の売買代金はどう決める?;期間や期限の
記載について ほか)
第3章 英文契約書によく出てくる一般条項(その1)
(準拠法はどの国の法律?;紛争解決の方法を定めよう ほか)
第4章 英文契約書によく出てくる一般条項(その2)
(なぜ分離・独立性条項が必要なのか;優先する言語を
決めておこう ほか)
第5章 英文ライセンス契約書の重要条項
(ライセンス許諾と権利の範囲;ロイヤルティーの設定 ほか)

初心者でもわかる!  LawLゆいの英文契約書入門初心者でもわかる! LawLゆいの英文契約書入門
(2014/05/31)
安保智勇

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書籍:あっそうか!ビジネス法人税のちょっと深い話

今般は、「あっそうか!ビジネス法人税のちょっと深い話」という本を読んでみました。

本書は、会計大学院生の卓の質問に対して、先輩の田町君が回答し、田町君では卓を納得させられなかった場合に、早乙女教授が補足説明をすることで、会話形式でストーリーが進んでいきます。

会話形式で会計や法律を学ぶ書籍等は多々ありますが、無駄な会話部分が多すぎて、知識を得られる部分がほとんどなくイライラさせられるモノが(たまに)あります。しかし、主観ですが、本書は、会話部分と知識部分がちょうど良い塩梅になっており、最後までだれずに読むことが出来ました。

本書では、(個人的に、普段見る機会の無い)法人税申告書の別表四を参照し、会計上の当期利益をスタート地点として、色々と加算、減算しながら、最終的な課税所得が計算される様が解説されていた箇所が参考になりました。

また、先日、「書籍:世界一カンタンでわかりやすい!税効果会計の教科書」という記事を書いた際に、「繰延税金資産は、一般的には、将来払う税金が減額される権利を得たとして(実質的には法人税の前払い)、資産計上すると説明されることが多いかと思いますが、個人的にイメージ出来ず、いつもなんのこっちゃ、と思っていました。」と記載しました。

上記疑問については、上記書籍(=「税効果会計の教科書」)を読んである程度解決したのですが、本書(=「あっそうか!ビジネス法人税のちょっと深い話」)に、上記疑問に対するそのものズバリな解説部分が記載されており、非常に腑に落ちましたので、以下に抜粋させて頂きます。

<以下、本書抜粋(p32~p34)>

4 繰延税金資産は税金の前払いじゃない?

(中略)

卓  :でも、この説って会計的に広く認知されているものなんですよね?
先輩:それはね、会計は、「会計上の処理を基準に理論を構築しているから」なんだ。
    仮に税法上の償却限度額が1,000であるときに、会計上求められる妥当な
    償却費が1,500であったとする。
    この差額500は償却超過であり、有税処理(加算処理)される。
    にもかかわらず、会計は「1,500の費用計上が妥当である以上、
    これに見合う節税効果も今期に享受できるべきだ!」と考える。

(中略)

卓  :会計からすると、(会計上の)理論値2,975ではなく、今期実際には
    3,150支払うことについて、その差額は税金の前払いであり、
    前払いしている以上「そこに資産性がある」ということですか?
先輩:かなり独善的な感じになるけど、まあ、そういうことなんだ。

※上記の「(会計上の)」と言う文言は、私(hitorihoumu)が追記しました。

<抜粋終了>

ということで、「税効果会計」は、よく考えれば当たり前かもしれませんが、税法目線ではなく、あくまで「会計上の処理を基準に理論を構築」されていたんですね。ようやく、ストンと腹に落ちました。

P.S.
なお、「税効果会計」については、入門書レベルではありますが、これまで色々と書籍を読んできたものの、私は総務・法務担当ということもあり、普段、実務で直接タッチしていない分野であります。その為、知識がいつまでたってもお粗末なレベルに留まっており、勉強していてもあまり自分の血肉となっている感が無いのが難ではあります。。

ただ、「税効果会計」はどんな部門に所属していようが、ビジネスパーソンとして押さえておくべきテーマかと思いますので、今後とも、徐々にでも、勉強を進めていきたいと思います。

<目次>
1部 税金の都市伝説化した落とし穴
    有税処理、税効果会計と実効税率
    欠損金、損益通算と連結納税制度
    グループ法人税制
    組織再編税制
    減価償却
    交際費
    給与
    寄付金
    国際税務
2部 理解度Check(設問編;解答編)

あっそうか! ビジネス法人税のちょっと深い話あっそうか! ビジネス法人税のちょっと深い話
(2012/12/22)
明石英司

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受入検査条項に注意、弁護士会照会制度の限界(BJL 2014年12月号)

遅ればせながら、「ビジネスロー・ジャーナル(BLJ)2014年12月号」を読み終えました。

本誌では、心に留まった個所が2点ありましたので、その箇所を取り上げさせて頂きたいと思います。

まずは1点目。

本誌では、「契約審査のためのヒアリング実践ノウハウ」という特集が組まれておりました。その中で、田辺総合法律事務所 辻弁護士が書かれた「継続的な動産売買の取引基本契約書」の一部箇所を抜粋させて頂きます。


<以下、抜粋>
2 実態への適合性
これは、上記1①において述べた契約書審査の目的に対応したヒアリング項目である。特にひな形が用いられている場合には、想定している実際の取引内容と契約書の規定に齟齬が生じている可能性がある。「個別契約の成立方法」や「検収の手続き」はそうした齟齬が生じる可能性の高い条項であるが、その他にも齟齬がないか確認する必要がある。
<抜粋終わり>


上記問題については、個人的に苦い経験があります。

基本契約書ではありませんでしたが、単発のスポット取引で、売主から当社に提示された売買契約書をベースに、当社で、当社と買主との売買契約書を作成し、「売主と当社」、「買主と当社」の間で、支払条件以外と取引金額以外はほぼ同一の契約書を締結したことがありました。

その中で、受入検査完了時には、「当社が売主に」、「買主が当社に」、検収書を発行する旨、定めておりましたが、実際には交付されませんでした。

上記契約書締結後、売買対象物の瑕疵を理由に、買主が当社に対する売買代金の支払を拒み、「瑕疵があったから、受入検査後、当社に検収書を交付しなかった」と主張されました。

買主が売買代金の支払を拒否したのは、実は、瑕疵とは関係の無い所にありましたが、契約書と実態に齟齬が生じていたことにより、買主に瑕疵を主張する余地を与えてしまいました。

私が売主から当社に提示された売買契約書をベースに、当社と買主との売買契約書を作成した際、当社側の担当者には、実務と合致していない場所があれば教えて欲しいと伝えており、問題ない旨、担当者から回答を得ておりました。しかし、当社側の担当者の確認不足を責めてこの問題を仕舞にしても、また、同様の問題が生じることになります。

営業担当者は、基本的には、契約書には興味は無いし、内容を確認しないもの、と性悪説で理解して、面倒でも、逐条で内容が実態に適合していることを確認していれば、上記事態は防げたなというのが個人的な反省点です。

また、「売主と当社」、「買主と当社」の契約書の内容を同一にしていたことから、安心してしまったのも失敗の原因でしたが、売主の立場としては、受入検査条項に、「買主から、○日以内に受入検査の諾否の通知が無い場合、受入検査に合格したものとみなされる。」というような条文を、上記売買契約書に定めていなかったことも、反省点です。

契約書が実態に適合しているのかどうかは、法務担当だけでは分からない場合が多々ありますので、面倒でも、齟齬が生じやすいと思われる条文だけでも、逐条で自社側の担当者に確認するようにしたいものですね。

さて、次に、心に留まった個所の2点目。

馬場・澤田法律事務所 安部弁護士と山内弁護士が書かれている「Q&A 法務相談の現場から」という記事では、今月の相談として、「弁護士会照会による情報・資料の取得」が取り上げられておりまして、弁護士照会制度について解説されておりました。

個人的には、弁護士法23条2項に基づく弁護士会照会制度について、恥ずかしながら良く知りませんでしたので、参考になりました。

本記事によりますと、弁護士会照会制度は、債権回収の場面等で活用されることがよくあるようで、「銀行等の金融機関の所在が不明な場合には、銀行等の金融機関に口座の有無・残高を確認する(この場合には確定判決等の債務名義が必要となります)」ことも出来るようです。

ご承知の通り、強制執行手続において、被執行者の預金債権に対して、強制執行する場合は、執行者自らが、当該預金の銀行情報(銀行名、支店名等)を特定する必要があります。裁判所が執行対象債権を探してくれるわけではありません。

なので、被執行者が、強制執行を受ける前に、多額の預金がされている銀行口座を、別口座に移してしまえば、自社だけでは発見しようがないわけですが、そのような中、この弁護士会照会制度は、債権回収手続きにおいて大きな助けになりますね。

ただ、本記事によりますと、「上述したように、判例・裁判例により、弁護士会照会によって照会を受けた公私の団体等には、照会に対する報告義務が認められていますが、照会先たる公私の団体等が正当な理由なく回答を拒絶した場合でも、報告を直接・間接に強制することはでき」ないようで、弁護士照会制度にも一定の限界があるようです。

銀行としても、弁護士照会制度という手続に基づいたとはいえ、顧客情報を第三者に開示したとあれば、顧客情報の秘密管理がなっていない銀行であるという評判が立ってしまいますから、安易に照会要請に応じられない事情があるのでしょうね。

銀行の顧客はあくまで預金者であり、弁護士会ではありませんから(弁護士会が当該銀行に多額の預金債権を保有している場合を除きますが)、弁護士会がなんぼのもんじゃい、というところでしょうか。違うかもしれませんが・・。

照会要請を受けた預金者が、銀行の大口預金者である場合と、少額の個人預金者である場合では、銀行の対応に違いが出たりするんでしょうかね。

さて、上記問題について色々ググっていたところ、非常に気にあるブログを発見しました。

淡路島で弁護士をされている、bakara2012弁護士のブログ(ツンデレblog 淡路島の弁護士が考えたこと)によりますと、「大阪弁護士会と三井住友銀行の間で、預金債権差押命令申立てのため、債務者が三井住友銀行に預金債権を有しているか、有しているとしたらどこの支店に有しているか、残高はいくらか、について、所定の手続をとれば三井住友銀行が回答する合意が成立した」ようです。

三井住友銀行も思い切ったことをしましたね。

bakara2012弁護士も上記記事で書かれていますが、三井住友銀行の対応によって、他の銀行も同様の対応を取るように変わって欲しいものですね。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2014年 12月号 [雑誌]BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2014年 12月号 [雑誌]
(2014/10/21)
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