今般は、高野誠鮮氏著作「ローマ法王に米を食べさせた男 - 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?」を読んでみました。
本書は、副題の通り、スーパー公務員である著者によって、限界集落だった羽咋市神子原地区が復活し、地域に活気が帯びていく軌跡が記されています。「ローマ法王に米を食べさせた」というのはあくまでもその手段の一つで、前例主義・横並び主義である通常の公務員ではまず考え付かないような施策を、上司や地域住民の反対をもろともせず、著者の持ち前の企画力、発想力、行動力で、周りを巻き込みながらどんどん実行していく様に、かなり引き込まれました。
個人的にツボにはまった著者の施策というか方策は、限界集落の解決は待った無しの問題である一方で、「長い間、間違った判断を下してきた人たちに稟議書を出して、もう一回伺いを絶てるのはおかしい」ということで、自由に使えるお金は60万円と低予算にすることを条件に、上司には稟議書を出さずに、全て事後報告とすることをしぶしぶ了承して貰い、施策の企画から実行までのスピード化を図ったことです。
独創的・革新的なことをしようとする際に、色々な人に言われたことを全て真に受けていたら、「そんなの前例が無い」、「俺の経験上、そんなの上手くはずがないね」等、被相談者の狭い経験と知見により、せっかく金平糖のように尖がったアイデアの角が削られて、結果、どこかで見た・聞いたことのある内容になってしまいますからね。スティーブ・ジョブズのように、独創的・革新的なモノを世に出す人というのは、得てして独裁者的なトップダウン型の人である、というのは必然なのかもしれません。
ここで、本書で個人的に心に留まった個所を以下に抜粋しておきたいと思います。
「『可能性の無視は、最大の悪策である』です。
とにかく1%でも可能性があるなら、徹底的にやってみようと。
最大の悪策は、やりもしないうちから、絶対出来ないと思いこむことなんです。」
「結局は人の努力によって解決出来ることがほとんどです。
たとえ少しずつでも出来ることを積み上げていけば、大きなことになる。」
「理論より実践」
「やってみせて、やってもらって、納得させないと人は動かない」
新しいことを始めるのは大きなストレスになるので、色々とやらないことの理由を考えて自分にブレーキを掛けてしまうものですが、著者のように、少しでも可能性があるのであれば、とにかく実践するように心掛けたいものですね。
<目次>
第1章 「一・五次産業」で農業革命!(「限界集落」の悲しい現状;
「一・五次産業」への挑戦! ほか)
第2章 「限界集落」に若者を呼ぶ(「空き農地・空き農家情報バンク制度」;
“抜魂”で仏壇の不安を解消 ほか)
第3章 「神子原米」のブランド化戦略(売りたい商品の長所を徹底調査;
ブランド品を生む「ロンギング」作戦 ほか)
第4章 UFOで町おこし(「町おこし大会」では、町はおこせない!;
郷土愛を深めた『羽咋ギネスブック』 ほか)
第5章 「腐らない米」。自然栽培でTPPに勝つ!(JAと組んで、
TPPに挑戦!;“奇跡のリンゴ”木村秋則さんを口説く ほか)