ペナルティ条項について(書籍:ビジネス法務英文グロッサリー)

先日、原秋彦氏著作の「ビジネス法務英文グロッサリー」を読んだ旨、記事を記載致しましたが、本書の内容で心に留まった箇所を以下に抜粋しておきたいと思います。


~以下、抜粋~

Liquidated damages(予定損害賠償)
一定の契約違反・債務不履行行為に対してあらかじめ違約金を定めるという場合に、日本ではそれを「違約金」と称することに何の問題もないが、英米法の世界においては「penalty」(罰金)を課することができるのは公権力だけであって、一般私人がこれを課するのは許されないという考え方があり、そのため、契約書の中に「penalty」という概念を使うとそれだけで強制力のない無効な取り決めと扱われるものとされている。しかがって、英米法の契約書の世界では「違約金」に当たる言葉としては「penalty」ではなく「liquidated damages」(定められている損害賠償)だけが登場する。

~抜粋終わり~


イギリスや米国では、抑止力の為に、懲罰的な損害賠償の判決が出ることがあるものの、日本では懲罰的な損害賠償は認められていない、ということは知っておりましたが、英米法上では、契約書上に懲罰的損害賠償を定めても無効となる、ということは本書で初めて知りましたので、今後の契約審査時の参考にしたいと思います。

なお、本件について色々とググッてみたところ、某弁護士によれば、契約書上に、相手方が契約違反した場合の罰則として、実際に生じた損害を大きく超えた、懲罰的な金額の賠償義務を定めた場合、当該条項は無効となる旨、解説されていました。

本書の上記抜粋部分では、「契約書の中に『penalty』という概念を使うと」と記載されている通り、「penalty」という文言を使用した場合、当該条項は無条件で無効となる、というわけではなく、あくまで、懲罰的な内容が定められていた場合に無効となる、ということなのでしょう。たぶん。

ただ、「どうせ無効となるのだから、懲罰的損害賠償条項は削除依頼しなくてもよい」、「一応、削除依頼したけど応じてくれない。まあ、原文通りとしても特に問題は生じないはず」と安易に考えてOKということには当然なりません。「懲罰的」の解釈はあくまで裁判所・仲裁機関がケースバイケースで認定することになるかと思いますので、当該条項が有効とみなされるリスクがあります。そこで、上記のような条項は放置せずに積極的に削除・修正交渉をしたいものですね。

使いこなしたいビジネス法務英文グロッサリー使いこなしたいビジネス法務英文グロッサリー
(2004/01)
原 秋彦

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書籍:(1)ビジネス法務英文グロッサリー、(2)英文契約書のための和英用語用例辞典

今般は、色々な所で紹介されている原秋彦氏著作の「ビジネス法務英文グロッサリー」を図書館で借りて読んでみました。

本書は、表題の通り、ビジネス法務の英文文書で良く使われる用語の用語集です。契約書に限らず、通信書(コレポン)、意見書、交渉時に作成する書類についてもカバーしているのが本書の特徴です。

使いやすいコンパクトな内容を意識して書かれた本であるようで、各用語に例文が記載されていないのが個人的には残念な所ですが(偉そうですみません・・)、本書では要所要所で、用語の単なる日本語訳だけではなく、当該用語の持つ英米法上の背景・位置付け等が解説されていて参考になるので、辞書的に使うだけでなく、端から端まで何度も読んで、既知の単語についても、用語の背景知識を頭に叩きこみたいと思います。

ということで、アマゾンで購入しようとしたところ、本書は既に販売中止されているようで、購入出来ませんでした・・。

ある書籍の需要がある一方で、その需要の存在を出版社は認識しておらず、出版社側はもう売れないと思っていて刷っていない、という需給のミスマッチを解消出来るよう、アマゾンさんには、「いいね」ボタンだけではなくて、「増刷希望」ボタンを設けることを希望したいですね。

また、上記書籍とは別に、野副靖人氏著作の「英文契約書のための和英用語用例辞典」も図書館で借りて読んでみました。

「ビジネス法務英文グロッサリー」は、法務全般を対象とした英和用語集ですが、「英文契約書のための和英用語用例辞典」は、契約書を対象とした和英用語集で、単なる英訳だけでなく、英文例文とその和訳が(全てでは無いものの)多数の用語に記載されています。やはり例文があると、その用語の使い方、相性の良い単語が分かるのでイイですね。

もし、契約書で使用される英単語・用語の例文が欲しい場合は、当該英単語・用語の日本語訳を、
「英文契約書のための和英用語用例辞典」で探してみる、という使い方も出来るかと思いました。

本書はまだ絶版にはなっていないようなので、アマゾンで購入してみました。
本書も、辞書的に使用するだけでなく、端から端まで何度も読んで、内容を頭に叩き込みたいと思います。

使いこなしたいビジネス法務英文グロッサリー使いこなしたいビジネス法務英文グロッサリー
(2004/01)
原 秋彦

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英文契約書のための和英用語用例辞典英文契約書のための和英用語用例辞典
(2012/06/07)
野副靖人

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インドの移転価格税制(書籍:インドのビジネス法務Q&A)

私の所属会社はインドにも拠点があることもあり、インドの法律事情について勉強しようと、酒井大輔氏著作「インドのビジネス法務Q&A」を図書館で借りて読んでみました。

本書は、インドの法制・規則をQ&A形式で解説するもので、今回は隅から隅まで読んだわけではなく、個人的に興味のある箇所のみを拾い読みしてみました。その為、今後、今回読んでいない部分が必要となる可能性がありますので、本書冒頭の詳細な目次部分はスキャニングしてPDFファイルとして保管し、今後、何かしらインド関連で法的問題に直面した場合は、上記目次を参照して、本書に当該問題に関連するQ&Aがあれば、改めて図書館で再度借りるという対応を取りたいと思います。どうでもいい話ですみません・・。

さて、今回、私が個人的に参考になった、インドの移転価格税制に関する説明箇所を以下に書き留めておきたいと思います。


~以下、抜粋~

(インドにおいて)2001年の移転価格税制の導入以来、過去の移転価格税務当局による移転価格調査によると、調査対象となったケースのうち25%以上の割合で移転価格の調整が求められ、その結果、当初の法人税納税額より多額の納税を強いられています。

一般的に、移転価格調査の対象となりやすい場合としては以下のようなタイプの会社となっていますので、これらのタイプの会社にあっては特に注意が必要であると思われます。

・国外関連者との取引が多いが、収益が十分に上がっていない会社
・国外関連者が構築したブランド力を利用して商品を販売しているが、
 収益が十分に上がっていない会社
・国外関連者から技術または業務のアウトソーシングを受託しているが、
 収益が十分に上がっていない会社
・国外関連者から本社機能またはマネジメント機能の提供サービスを受け、
 その対価を支払っているが、収益が十分に上がっていない会社
・長期間にわたり国外関連者から技術サービス等の提供を受け対価を
 支払っているが、収益が十分に上がっていない会社

~抜粋終わり~


上記の箇条書き部分は、インドに限らず、他国の移転価格税制上も同様かと思います。

そういえば以前、インドに詳しい某コンサルタントの話によりますと、インドでは、2期だか3期連続赤字だと、インドの税務当局に目を付けられやすくなるので、インド現法が赤字にならないように、日本の親会社とインド現法が業務委託契約なり役務提供契約を締結して、当該契約書の対価としてインド現法に資金を定期的に提供し、赤字化させないようにする、という日本企業が結構いるようです。

ただ、思うに、上記の場合、インドの税務当局には目を付けられ難くなるかもしれませんが、一方で、日本の税務当局から、当該委託業務の実在性・妥当性について疑義を持たれる可能性があるかと思います。

なので、もし、対インド税務当局対策で上記の対応をするのであれば、例えば、契約上の成果物(報告書等)をペーパーで定期的にインド現法から受領する等して、日本の税務当局から指摘があった場合に、しっかり説明出来るようにしたいところですね。

※上記の税務当局対策を取る場合は、自己責任でお願いします・・。
 私は何ら責任を負えませんので。

<目次>
第1章 インドでビジネスをするための基本
第2章 インド進出の際に利用できる事業体
第3章 インド進出方法メリット・デメリット
    100%独資子会社、JV、M&A
第4章 インド外資規制
第5章 インド会社法
第6章 資金調達
第7章 不動産取得の際の問題
第8章 インド労働法
第9章 インドの訴訟制度、仲裁
第10章 インドの税制

インドのビジネス法務Q&Aインドのビジネス法務Q&A
(2011/08)
酒井 大輔

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書籍:ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?

今般は、高野誠鮮氏著作「ローマ法王に米を食べさせた男 - 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?」を読んでみました。

本書は、副題の通り、スーパー公務員である著者によって、限界集落だった羽咋市神子原地区が復活し、地域に活気が帯びていく軌跡が記されています。「ローマ法王に米を食べさせた」というのはあくまでもその手段の一つで、前例主義・横並び主義である通常の公務員ではまず考え付かないような施策を、上司や地域住民の反対をもろともせず、著者の持ち前の企画力、発想力、行動力で、周りを巻き込みながらどんどん実行していく様に、かなり引き込まれました。

個人的にツボにはまった著者の施策というか方策は、限界集落の解決は待った無しの問題である一方で、「長い間、間違った判断を下してきた人たちに稟議書を出して、もう一回伺いを絶てるのはおかしい」ということで、自由に使えるお金は60万円と低予算にすることを条件に、上司には稟議書を出さずに、全て事後報告とすることをしぶしぶ了承して貰い、施策の企画から実行までのスピード化を図ったことです。

独創的・革新的なことをしようとする際に、色々な人に言われたことを全て真に受けていたら、「そんなの前例が無い」、「俺の経験上、そんなの上手くはずがないね」等、被相談者の狭い経験と知見により、せっかく金平糖のように尖がったアイデアの角が削られて、結果、どこかで見た・聞いたことのある内容になってしまいますからね。スティーブ・ジョブズのように、独創的・革新的なモノを世に出す人というのは、得てして独裁者的なトップダウン型の人である、というのは必然なのかもしれません。

ここで、本書で個人的に心に留まった個所を以下に抜粋しておきたいと思います。


「『可能性の無視は、最大の悪策である』です。
 とにかく1%でも可能性があるなら、徹底的にやってみようと。
 最大の悪策は、やりもしないうちから、絶対出来ないと思いこむことなんです。」

「結局は人の努力によって解決出来ることがほとんどです。
 たとえ少しずつでも出来ることを積み上げていけば、大きなことになる。」

「理論より実践」

「やってみせて、やってもらって、納得させないと人は動かない」


新しいことを始めるのは大きなストレスになるので、色々とやらないことの理由を考えて自分にブレーキを掛けてしまうものですが、著者のように、少しでも可能性があるのであれば、とにかく実践するように心掛けたいものですね。

<目次>
第1章 「一・五次産業」で農業革命!(「限界集落」の悲しい現状;
    「一・五次産業」への挑戦! ほか)
第2章 「限界集落」に若者を呼ぶ(「空き農地・空き農家情報バンク制度」;
    “抜魂”で仏壇の不安を解消 ほか)
第3章 「神子原米」のブランド化戦略(売りたい商品の長所を徹底調査;
    ブランド品を生む「ロンギング」作戦 ほか)
第4章 UFOで町おこし(「町おこし大会」では、町はおこせない!;
    郷土愛を深めた『羽咋ギネスブック』 ほか)
第5章 「腐らない米」。自然栽培でTPPに勝つ!(JAと組んで、
    TPPに挑戦!;“奇跡のリンゴ”木村秋則さんを口説く ほか)

ローマ法王に米を食べさせた男  過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
(2012/04/06)
高野 誠鮮

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中国からの撤退リスクと債権者との関係について

先日(1/14)の日経新聞に、「事業撤退にアジアリスク 退職金巡り労使紛争 税務当局認可2~3年」という記事が掲載されていました。

昨今、中国の労務コストやカントリーリスクが増加してきたことにより、中国から撤退しようとする日本企業が増加しているものの、撤退時に、想定外に多くの時間・お金が掛かることから、スムーズに撤退が出来ない事例が多いようですね。

賃金や売掛金の支払いを求める中国の労働者、取引先が、撤退する企業の現地経営者の身柄を拘束したり、暴行したりする事件も発生しているようです。

なお、私の所属している会社に、某メガバンクから定期的に配布されてくる某法務系冊子によりますと、中国から違法な撤退をした場合、出資者、株主、経営者、高級管理職は以下のような責任が問われる可能性があるようです。


<民事責任>
会社法第150条(賠償責任)
董事、監事、高級管理職は、法律、行政法規又は会社定款の定めに違反し、適時清算義務を履行せず、会社に損害を与えた場合、賠償責任を負わなければならない。

会社法第20条、第21条(連帯責任)
株主権利及び法人の独立的地位の濫用が見られる場合、出資者、株主或いはその他の関係責任者が法人の債務或いは責任を直接負わなければならない。

<刑事責任>
刑法第224条(契約詐欺罪)
不法占有を目的に、相手方を欺き、又は相手から商品、貸付金、前払金或いは担保財産を収受した後、逃亡隠匿するような場合。

刑法第203条(追徴方法消滅罪)
企業が撤退前に既に税を滞納したうえで資産移転或いは隠匿を行い逃亡するような場合。

刑法第313条(執行拒否罪)
人民法院の判決及び裁定を執行する能力を有しながら執行を拒否するような場合。

刑法第193条(借入金詐欺罪)
貸付金を隠匿したまま貸付期限が満了を迎えた後返済を拒む場合
貸付金を持ち逃げした場合


一方、「撤退する日本企業の中国現地法人」の債権者という立場で考えると、撤退する法人が夜逃げ同然で中国から撤退した場合に、どのように債権を回収するかという問題があります。

もちろん、当該企業の敷地内に設備等が残存していれば、債務名義を得た上で、競売手続で当該設備等を換価することで、いくらかでも債権を回収することは出来るかもしれません。

しかし、自力救済が(暗黙的にも)日本よりも広範囲に認められる中国では、真面目な債権者が悠長に債務名義を得ている最中に、中国ローカル企業がトラックを工場・倉庫に乗り付けて、残存している設備等を無断で持ち出そうとするでしょうし、競売でいくらかの配当を得られたとして、労働債権等の優先債権の存在により、手元に入ってくる金銭は微々たるもので、「焼け石に水」となるでしょう。

そこで、撤退した中国法人の日本の親会社に責任を追及しようとしても、親会社が、違法な撤退に伴う日本でのレピュテーション喪失を何とも思わないような中小企業で(中小企業全般を蔑視しているわけではありません)、当該経営者が中国に入国すると、中国の労働者や取引先だけでなく、中国当局に身柄を拘束されるリスクがあるので、今後一切、中国の地を踏まないし、中国でのビジネスはしない、と腹を括ってしまっている場合、債権者としてどうするのか。

このような相手に、中国現地法人の株主としての同義的な責任を問うたとしても意味がなく、当該親会社から、中国現地法人の債務に対する連帯保証等は取得しておらず、親会社は中国法人の単純な出資者である場合、親会社に対して責任追及していくことは難しいでしょう。

また、日本と中国間では「犯罪人引渡し条約」が締結されていないので、「日本に既に帰国していたとしても、今回の違法撤退問題で、あなたの身柄が日本当局から中国当局に引渡されますよ。それでもいいんですか?」と脅かすことも有効ではありません。

ということは、違法撤退した中国法人の債権者は、ただ指をくわえて泣き寝入りをするしかないのでしょうか。この問題については、個人的な課題として、引き続き調べてみたいと思います。

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