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総務&法務担当の部屋     

現在、ある企業で法務担当として仕事に従事している者です。このブログは、特に法務に関する書籍や仕事を通じて感じたことを備忘録として書き留めておく為に立ち上げました。
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取引基本契約書の相殺条項と「相殺 無制限説」について(その2)

臥竜窟さん、kataxさん、昨日UPした記事「取引基本契約書の相殺条項と
『相殺 無制限説』について」にコメント頂き、ありがとうございました。
コメントにて返信しようかとも思いましたが、今回の記事にて返信に
代えさせて頂きます。

今回の問題について、契約書審査担当のバイブル的な本である、滝川宜信氏著作
『取引基本 契約書の作成と審査の実務』を参照したところ、以下のような
記述がありました。

少し長いですが、抜粋してみようと思います。


「(二)差押えと相殺
 差押えと相殺の関係については、従来より銀行預金に対する国税滞納処分
 としての差押えと銀行がその貸付金を自働債権として相殺の効力に関する
 問題として凡例・学説上しばし論じられてきた。
 最高裁の平成39年12月23日の大法廷判決は、差押えの時に自働債権(貸付金)の
 弁済期が未到来で受働債権(銀行預金)の弁済期が到来している場合に、
 差押え後、自働債権の弁済期到来時に相殺しても差押え債権者に対抗できず、
 相殺予約の特約をしていても対抗できないとした(制限説)。
 その後、昭和45年6月24日の最高裁大法廷は、民法511条の反対解釈として、
 『第三債務者は、その債権が差押え後に取得されたものではない限り、自働債権および
 受働債権の弁済期の先後を問わず、相殺適状に達しさえすれば、差押え後においても、
 これを自働債権として相殺なしうる(無制限説)と判示した。』
 ~(以下、記載を省略)


ということで、上記書籍によりますと、臥竜窟さん、kataxさんのご指摘通り、
「無制限説は、差押えと相殺が競合する場面に限定された話」であり、
「制限説であっても無制限説であっても、相殺適状になければ相殺できない
という点について相違はない」ということになりますね。

しかし、それでは、昨日UPした、伏見和史氏著作「英文売買書式と取引実務」の
抜粋箇所はどのように考えれば良いのでしょうか。

伏見和史氏が、昭和45年6月24日の最高裁大法廷の判例を拡大解釈し過ぎなのか。
もしくは、昨日の抜粋箇所は、

「日本法では、相殺は、相殺しないという特約がないかぎり、債権・債務がともに
 弁済期を迎えていれば、当事者のどちらかの意思表示(相殺するという相手方の通知)
 によって行うことができる。」

という相殺を解説した本文の脚注箇所である為、私の読み込みが足りないだけなのか。
どうやら後者である匂いがプンプンしてきましたが・・orz、他の書籍にもあたって
確認してみたいと思います。

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取引基本契約書の相殺条項と「相殺 無制限説」について

今般は、伏見和史氏著作「英文売買書式と取引実務」を読んでみました。
早速ですが、本書で参考になった個所を以下に抜粋してみたいと思います。


「民法505条1項は『双方の債務が弁済期にあるとき』(相殺適状)を相殺の
 要件としているが、相殺の意思表示現在で、相殺する債権(自働債権)の弁済期が
 未到来、かつ相殺される債権(受働債権)の弁済期は自働債権の弁済期より
 さらに先だった場合、相殺は可能だろうか。最高裁判例(最大判昭45・6・24民集
 24巻6号587頁)では、これを肯定する。これを無制限説といい、通説である。
 よって、現在では相殺適状にあるか否かを問わず、債権と債務とがあれば、
 権利行使について濫用がないかぎり、これを相殺することができると解釈されるが、
 対象の債権・債務に対して第三者の差押えや債権譲渡があった場合にはケース・バイ・
 ケースだとの有力説もある。」


私は上記の第505条の定めはもちろん知っていましたが、恥ずかしながら
上記の「無制限説」については知りませんでした・・orz

しかし、上記判例の相殺の担保的機能を重視する考え方も分からなくはないですが、
当方の自働債権の弁済期が受働債権の弁済期よりも先に到来する場合でも、
相手方が相殺出来てしまうとなると、当方は予定よりも早くキャッシュアウトすることに
なるので、何だか、個人的には納得がいきませんね。

なお、取引先から提示される取引基本契約書の相殺条項には、

「第20条(相殺)
 甲(=取引先)は、弁済期の到来の有無に拘わらず、乙(=当社)に対して
 債権、債務を有している場合は、いつでも乙に対する通知をすることで、当該債権、
 債務の相殺を実施することが出来る。」

みたいな条文が定められているケースが結構あります。
上記の契約書に出くわした場合、上記の無制限説を知らなかった私は、これまで
以下のような提案をしていました。

「平時においては、双方の債権債務の弁済期が到来した場合に、相殺が出来るとするのが
 合理的であるので、第20条は以下の様に修正してください。

<修正案>
 第20条(相殺)
 甲(=取引先)は、乙(=当社)に対して、弁済期の到来した債権、債務を
 有している場合は、いつでも乙に対する通知をすることで、当該債権、債務の相殺を
 実施することが出来る。」

上記の提案は過去数十回はしていますが、これまで、相殺の無制限説に基づいて、
原文の正当性を主張されたことは一回もなかったですね。

上記の提案を受けた取引先の法務担当者の考えは私には知る由もありませんが、
おそらく、以下のようなことを考えているのでしょう。

<思考パターン例>
パターン1:取引先の法務担当者も相殺の無制限説を知らず、「言われてみれば
       確かにそうだなぁ。先方(=私)の提案通りに修正しなくっちゃ。
       ついでに、雛型契約書も見直そうかなぁ。」というパターン。

パターン2:「顧問弁護士に言われてこの条項の内容にしたけど、先方(=私)の主張にも
       一理あるな。下手に原文通りと主張したら、当事者公平の観点から
       「甲および乙は~」に修正してくれ、と言われても厄介だから、
       今回の提案を受け入れよう。」

パターン3:「おいおい、こいつ(=私のこと)は「相殺の無制限説」を知らずに、
       こんな提案してきちゃってるよ、ぷぷぷ( ´,_ゝ`)
       しかしまあ、こいつに色々教えてやるのも面倒くさいから、
       「全ての取引先様と同じ条件で締結していますので」とでも言って、
       原文通りで納得させよう。ぷぷぷ( ´,_ゝ`)
etc.

今回、相殺の無制限説を知ったからといって、今後の相手先への提案方法を
従来と変更することは考えていませんが、今回の反省を機に、民法の基本書から
勉強し直そうかと思います・・。


英文売買書式と取引実務英文売買書式と取引実務
(2006/12)
伏見 和史

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決定権者は誰か。

交渉をする際に、「決定権者は誰なのか」を早い段階で見極める必要がある、
というのは、交渉術の基本ですが、「決定権者は誰なのか」をどのように探るのかは
交渉者の腕の見せ所であり、ここで手抜きをしている人を以前、見かけて辟易した
経験がありますので、ここに反面教師の題材として記載しておきたいと思います。

以前、私が某自動車メーカーの認定中古車を購入したいと思い、事前にネットで
目星を付けてから当該ディーラーを訪問した時の一コマです。

以下、ディーラー営業担当者をH氏とします。


私 :こちらのお店のHPに掲載されていた○○(=車種)を購入したいんですが。
H氏:(店頭の端末で検索して)まだご案内出来ます。
   ご購入は現金ですかそれともローンをご利用ですか?
私 :現金で購入します。
H氏:そうですか。ちなみに、hitorihoumuさん(=私)は今回のお車の購入について
   決裁権のある方ですか?
私 :(この人は口の利き方がなってないなー。しかも、口からタバコ臭がするし、
   と思いながら聞こえない振りをして)はい?
H氏:ですから、今回のお車の購入について、他の誰かに相談する必要はないですか?
私 :・・・・。ないですね。

<教訓>
「決定権者は誰なのか」は重要ではあるが、目の前の人に「あなたは決裁権者ですか?」と
ストレートに聞くべからず(=まあ、当たり前ですが)。


上記の交渉の結果としては、自分が決裁権者に見られなかったことに対する憤慨よりも、
他人事ながら、H氏の見た目年齢は50歳台なので、営業力はベテランの域に達していなければ
ならないにも拘わらず、H氏の営業センスの無さを感じて非常に残念な気持ちにさせられ、
直ぐにお店を出ようかと思いましたが、H氏の対応を脇におけば、目星の車は
どうしても欲しかったので、その場で購入を決断しました。

なお、上記以外にも、空気を読めていない発言(こっちは中古車に限定して
探しているとずっと言っているのに、しきりに新車を進めてきたりとか。
中古車よりも新車を購入させた方が営業担当者の得点が高いのでしょうか。)が
多数ありまして、車を購入後、H氏から車検案内とかアフターサービスの営業電話の
留守電が残っていても全部無視しており、二度とそのディーラー(特にH氏)から
購入するまいと誓っています。

H氏には、H氏の言動に対する不満を伝えていませんので本人は気づいていないと
思いますが、知らず知らずの内に、交渉相手の反感を買わないように注意したいものです。

英単語集を自炊代行業者に委託して電子化してみました

最近、分厚い英単語集をカバンに入れて持ち運ぶのが大変なので、スマートフォンで見れるように、
遅ればせながら、某自炊代行業者を使って英単語集を電子化してみましたが、これは素晴らしい
サービスですね。

書籍がPDF化されて嵩張らなくなったこと以上に、自分で自炊(日本語がオカシイですが)する
場合ではなかなか出来ないOCR(=光学文字認識)処理もオプションで実施してくれますので、
ページをめくる手間が省けるのがすごくイイですね。

今回の初体験で思いつきましたが、英単語集をOCR(光学文字認識)処理すると、
下記のような勉強も出来ますね。

<英単語勉強法>
1.英単語集に付属するCDを聞いて、聞き取った単語をOCR化されたPDFで検索する。
2.無事に検索出来れば、スペルを正しく覚えていることになりますし、検索出来なければ
  もっと勉強が必要なことになります。

(注)スペルミスではなく、ちゃんとOCR処理が出来ていなくて検索出来ない場合もあるかと思いますが。

なお、今後は、自炊代行業者を使って色々な書籍を電子化していきたいと考えていますが、
特に、自宅にある多数の「英文契約書の書き方」みたいな書籍をOCR化のオプションを付けて
PDF化し、英語の契約書ドラフティング時に「あの表現はたしかあの本にあったような、
なかったような・・」という時でも、書籍をひっくり返して調べなくても良くなるように
したいと思います。

さらに、ずっと買いたいけど高くて手が出ない「英文ビジネス契約書大辞典(=18,900円 書籍版)」の
CD-ROM版(=24,150円)も、書籍を購入してPDF化すれば、自炊代行料を差し引いてもお釣りが
来ますので、近々、着手したいと思います。

ご承知の通り、自炊代行業者に対する自炊差し止め訴訟が提起されていて、どのような判決が
出るのか気になるところですが、いまの内に(といっても自炊代行業者を使用することの違法性は
全く認識していません!)電子化出来るものは電子化してしまいたいと思います・・。

参考:Yahooニュース 本の電子書籍化する「自炊」差し止め訴訟で業者側は争う姿勢
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120201-00000528-san-soci

書籍:知的財産戦略 技術で事業を強くするために

今般は、いつも拝読している知財系ブログ「The・知財部員が往く!」にて
紹介されていた、丸島儀一氏著作の「知的財産戦略 技術で事業を強くするために」を
読んでみました。

本書では、キヤノン 知財担当者としての40年間の豊富な実務経験と、弁理士としての
専門知識を有する著者が、研究開発部門、事業部門と知財部門が「三位一体」と
なって事業を遂行することの大切さを説くことを柱にして、事業を強くする為に、
いかにして知的財産を活用していく必要があるのか、その実践的な解説をされています。

ちなみに、私が所属している会社は某商材の専門商社なので、キヤノンのように、
研究開発部門や知財部門はなく、私が関わる知財の仕事と言えば、
契約審査の際に知的財産権に関する条項を検討するときか、商標の更新手続き(=弁理士
への委任状に印鑑を押すだけです:笑)くらいしかありません。

その為、個人的には、本書の内容が直接、今の仕事に役に立つ箇所は多くはなく、
本書は知財部門や技術を売りにしている企業の経営者向けの本かと思いましたが、
高い技術を持ちながらも、いまいち、世界での存在感が薄い技術立国・日本が、今後、
どうやって世界で戦っていかなくてはならないのか、その答えを本書に見た気がします。

さて、本書で参考になって付箋を貼付した箇所は多数ありますが、その内の一つを
備忘の為に書き留めておこうと思います。


「『No』を『yes』にできる新人を育成する

 知財部門の役割は三位一体の活動を基に、事業戦略を優位に実行せしめる知財力の
 形成と知財活用活動を行うことにある。
 このためには知財担当者が『事業のために活動する』意識を持つことが基本となる。
 配属された新人の教育で大切なのは、この意識と知財マインドを植え付けることである。
 教育しても、この意識を持てない人は知財人材としては不適格であると言っても過言ではない。

 新人教育について気を付けなければならないのは、相談された案件に対して
 厳しい法律判断を基に『No』と言うだけで、それを合法的に『No』にする知恵と活動が
 出来ない知財担当者をつくらないようにすることである。」


上記は至極その通りで、法務担当にも同じことが言えますね。
単純な法律判断だけであれば、開発部門や事業部の人が、弁理士や弁護士に直接
質問すればいい話で、法務担当、知財担当は必要ありません。
やはり、開発部門、事業部の人と一緒になって問題を解決していこうという
姿勢・熱意と、その為の知識・ノウハウが求められるわけですね。
上記は当たり前のことではありますが、常に意識して仕事に取り組みたいものです。

<目次>
第1章 知的財産経営とは何か
第2章 事業競争力を高める知財活動環境の構築
第3章 研究開発における知的財産戦略
第4章 事業戦略に適った知的財産権の形成戦略
第5章 事業を強くする知的財産活用
第6章 技術の国際標準化戦略
第7章 アライアンス(提携)戦略
第8章 紛争の予防と解決の活動
第9章 知的財産立国、技術立国への論点

知的財産戦略知的財産戦略
(2011/10/07)
丸島 儀一

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