新書:仕事をしたつもり

今般は、最近、本屋で平積みされていることの多い、海老原 嗣生氏著作の
「仕事をしたつもり」という新書を読んでみました。

本書は、多数の事例を挙げて、「しごとをしたつもり」な状態を、「量の神話」、
「ハコモノ志向」、「本末転倒」、「横並び意識」、「過剰サービス」に分類して
解説しています。

例えば、当初は、営業成績を上げる目的の為に顧客訪問回数を増やす方法を
採っていた人が、いつの間にか、効率を考えず、顧客訪問回数を増やすことが
目的化してしまい、すごく頑張っているけど報われない状況に陥るようなケースを
「量の神話」としています。

「量の神話」は、「考えることから逃げ(質を考えずに)」、「安易に走り
(量だけにこだわり)」、「でも傍目にはその行為が賞賛される」という状況が、
根底にあるとしています。

他の分類事項についても言えることですが、「仕事をしたつもり」な人は、
良く考えて仕事をすることを放棄し、手段と目的を履き違えている人であると
言えるでしょう。

なお、以前、「御社の営業がダメな理由」という本に関する記事でも同じようなことを
書きましたが、営業成績という評価数字が明確に出て、「仕事をしたつもり」だったことが
後々客観的に分かる営業担当と比較して、アウトプットの評点を数字化出来ない間接スタッフは、
この「仕事をしたつもり」な状況に陥り、また、なかなか自分では気づかずに抜け出せない
ケースも多いかと思います。

常に目的意識を持って活動している人には本書は不要ですが、自分は頑張っているのに
なかなか報われないと感じている人は、サラッと読める内容・文体ですので、
本書を読んで、自分の仕事に対する姿勢・考え方に原因が無いかを見つめ直しては
いかがでしょうか(=自戒も含む)。

<目次>
第1章 何十枚も資料を作って、それで仕事をしたつもり?
    ―「量の神話」を突き崩せ
第2章 流行のビジネスモデルを学んで、それで仕事をしたつもり?
    ―中身より形にこだわる「ハコモノ志向」
第3章 みんなで一緒に考えて、それで仕事をしたつもり?
    ―大義が引き起こす「本末転倒」
第4章 業界トップの真似をして、それで仕事をしたつもり?
    ―過去の自分までもが加担する「横並び意識」
第5章 「お客様は神様です」とへりくだって、それで仕事をしたつもり?
    ―商売の原則を無視した「過剰サービス」
第6章 新しいことにチャレンジしないで、それで仕事をしたつもり?
    ―「安全策」や「奇策」に逃げるな
終章 「仕事をしたつもり」からの抜け出し方

仕事をしたつもり (星海社新書)仕事をしたつもり (星海社新書)
(2011/09/22)
海老原 嗣生

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書籍:成功は一日で捨て去れ

今般、ユニクロブランドでおなじみの、ファーストリテイリングの会長兼社長である
柳井正氏が書いた「成功は一日で捨て去れ」という本を読んでみました。

本書では、2005年に玉塚元社長が辞任して、柳井氏が会長兼社長に復帰したあたりからの
ファーストリテイリング社の成功と失敗、そして、その時々で柳井氏がどう判断し、
その後どう考えているのかが綴られています。

早速ですが、本書を読んでいて個人的に心に留まった個所を、少し長いですが
以下に抜粋しておこうと思います。


「会社というのは、お客様に商品を売り、サービスを提供して、それに対し
 お客様がおカネを支払ってくれる、収益という見返りを得る受益者である。
 そこにこそ会社の役割と意味があると思う。
 株主のためでも社員のために存在するものでもない。
 もし、会社が社員のためにあるということになると『お宅の社員を幸せにして
 あげたいから買ってあげます』、そう思ってお客様がおカネを払うという
 話になってしまう。これは、どう考えてもおかしい。
 日本の経営者は『会社は社員のためにある』という人が結構多い。これは本末転倒である。
 また、アメリカの経営者は『会社は株主のためにある』とよく言う。これもありえない。
 いま世の中全体が不景気のせいもあるかもしれないが、元気のない経営者が多い。
 話をしていても銀行が貸してくれないから何もできない。などと、他人のせいばかりに
 して経営者自身がまったく動こうとしていない。お客様のために何ができるかを常に
 一所懸命考えて、自らが率先してひるまず実行するべきだ。」

「一番始末に負えないのは、最初から自分の考え方や概念からはみ出したものは
 売りたくない、と考えている人である。」

「当たり前のことだが、売れるような努力をし続けないと、絶対に売れない。
 現場の状況をよく見て良く知って、まずいな、と思ったらすぐに修正する。
 その繰り返しである。売れないとか利益が出ないのを、景気や天気や他人のせいに
 してはならない。」


上記抜粋部分だけでも分かりますが、柳井氏以下、ファーストリテイリングには、
顧客第一主義、現場第一主義が浸透しているようです。

また、本書を読みますと、農業への参入も含め、同社がいかにたくさんの失敗を繰り返して
きたかが分かります。しかし、「会社も個人も成長しなければ死んだも同然だ。」という
考えのもと、成功体験に驕ることなく、常に変革し続けてきたからこそ、今の同社の
成功があるのだと思います。

本書を読んでみた限りでは、柳井氏には非常にワンマン的なところもあるかと思いましたが、
間違った判断をした場合は、失敗をしっかり認められる器があるところが、
他のワンマン経営者との違いなのでしょう。

自分の地位に安住することなく、これだけ自分の会社のことを考えて語れる
バイタリティー溢れる経営者はなかなかいないでしょうね。
柳井氏の考えを引き継ぐ、もしくは凌ぐ後継者がしっかり育っているのかが気になるところです。

成功は一日で捨て去れ成功は一日で捨て去れ
(2009/10/15)
柳井 正

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外国企業から中国企業への技術移転契約の注意点

今般は、某メガバンクから定期的に送付されてくる中国法務系冊子に、
中国における技術契約についての特集が組まれていており、参考になりましたので、
以下にまとめてみたいと思います。

中国では、外国企業から中国企業への技術移転は「技術の輸入」と見なされて、
一部の技術移転については、商務部にて事前の許可が必要となり、
自由に輸入出来る技術については、契約締結後に商務部にて事後の登録をする
必要があります。

ご承知の通り、中国では、外貨管理規制が厳しく、特に、中国にお金を入ってくる
送金よりも、中国からお金が出ていく送金の方を厳しく規制しています。

技術移転契約をやっと締結出来たとしても、上記の許可もしくは登録手続きを怠ると、
ロイヤリティ-等を中国国外にて受領することが出来なくなりますので、
当該手続の誠実な実施義務、当方の確認の為の「技術輸入契約登録証」等の
手続き書類の提出義務をしっかり契約書に定めるように注意したいところです。

ちなみに、話しはやや変わりますが、現在、私は、私の所属会社を商社として、
日本法人の仕入先と中国法人の顧客の間に入って、日本の製造設備の輸出と
ライセンス契約の締結交渉を行なっています。

当初、当社の仕入先からは、仕入先、当社、当社の顧客の三社間ではなく、
「仕入先と当社」、「当社と当社の顧客」の各二社間にて、
ライセンス契約(=ロイヤリティの授受にも介在)を締結するように依頼を受けました。

しかし、契約を締結したとしても、中国企業にライセンス契約通りの義務(秘密保持義務、
第三者への再許諾の禁止等)を遵守させる自信が無く、その割りに、ロイヤリティ取引では
薄利の粗利しか貰えないので、ライセンス契約については、仕入先と当社の顧客間で直接、
二社間で締結して頂くようにしました。

特に相手方が中国等の外国企業の場合には、差し止め請求等をするにも色々と困難ですし、
そもそも、技術やノウハウは、一旦、流出すると回収は不可能で、損害賠償を請求するにも、
損害額の証明をするにも困難を伴いますので、契約で縛るから大丈夫と安心することなく、
間に入る商社としては、無用な契約義務を負わないように注意したいものです。

また、自社側が秘密情報の直接的な開示者となる場合にも、NDAは「お守り」程度に
考えて、NDAを過信した安易で野放図的な秘密情報の開示には気をつけたいところです

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書籍:ビジュアル解説 交渉学入門

今般は、「ビジュアル解説 交渉学入門」という本を読んでみました。

本書では、表題どおり、交渉時の基本的な考え方、実務的なテクニックを、
図を用いながら分かりやすく解説されています。

本書で個人的に心に留まった箇所を以下に抜粋しておこうと思います。

「交渉は、落としどころ探しではなく、目標達成の手段である。」
「ビジネスを成功させようとする視点と、合意のためだけのバーター取引は、
あまりにかけ離れているといえる。このように落としどころ探しは、結局、
後になって自分の首を絞めることになる。」
「交渉では、徹底したプラグマティスト(現実主義者)になるべきである。
 『今回譲歩することで、相手とよい関係になり、関係が発展し新規事業を受注できる』
 と書いてみれば、このような発想がどれだけ過剰な期待かはっきりする。
 しかし、実際の交渉では、多かれ少なかれこのような期待を抱いていることがある。」
「『この交渉で自分は何を得たいと思っているのか』、ミッションをはっきりさせる
 ことが重要である。コンフリクト・マネジメントで最も大切なのは、問題解決、
 すなわち結果だけにフォーカスし続けることである。」

著者の主張するとおり、交渉の目的は、「合意すること」ではなく、
「自分達の利益を獲得すること」である、というのはその通りです。

「合意すること」を主眼においていると、「損して得取れ」的な思考に陥って、
安易に妥協してとりあえず早期に合意するものの、結局、両者の間に大きな
潜在的紛争要因を残すことになり、また、損しか取れてないに事態にもなりかねません。

著者は、交渉を成功に導く為に、下記の3原則が大事であると主張します。
(1)論理的に交渉を進行させる。
(2)交渉前の準備を怠らない。
(3)クリエイティブ・オプション(柔軟な発想による選択肢)によって
   合意を豊かにする。

上記(2)の中では、著者は、紙に現在の状況を書き出して交渉に必要な情報を可視化して
認識すること、交渉の前に、事前に目標・ミッションを設定することの重要性を説いています。

情報の整理と目標設定を全くせずに交渉に臨む人はいないと思いますが、紙に書き出して
(もしくはタイピングして)それぞれの関係性について全体を眺めてみると、
交渉の要点、追加で入手すべき情報等がはっきりしますし、頭の中も整理されますので、
是非実践したいものです。

また、交渉前に設定した目標・ミッションを主眼において、「この交渉結果で当方の目標が
達成出来るか」を常に意識することで、長丁場の交渉で疲弊していたとしても、
交渉姿勢がブレることの無い様にしたいと思います。

最後に、実際の交渉において、こちらの方が力関係が弱い場合、本書に記載の交渉術を
駆使しても、結局は力関係で決まってしまうことも多いとは思いますが、力関係を
言い訳にせずに交渉に臨みたいものですね。

【ビジュアル解説】交渉学入門【ビジュアル解説】交渉学入門
(2010/03/20)
一色 正彦、田村 次朗 他

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営業担当に説明すべき契約交渉時のリスクと研修資料(BLJ 2012.01)

今般は、遅ればせながら「Business Law Journal 2012年1月号」を読んでみました。

本誌では、「営業担当に説明すべき契約交渉時のリスクと研修資料」という特集が
組まれておりまして、複数社の法務担当者が、自社の法務部門で実施している
「契約」に関する研修について紹介・解説されていました。
私は、契約、コンプライアンス、実務に必要な法律の基礎知識に関する新入社員向けの
研修を担当していることもあり、非常に興味深く読むことが出来ました。

本誌の中で個人的に心に留まった箇所の中から一つ、書き留めておこうと思います。
以下は、川崎重工業株式会社 法務部法務課の伊達氏、斉藤氏の会話部分です。

「伊達氏:研修で私が最後に必ず言っているのは『法務は御用聞き』なので
     電話一本でも気軽に相談してください。ということです。
斉藤氏:そういう意味では、研修を通して法務部を身近に感じて欲しいという
     気持ちが強く、我々にとっても研修は社内向けに自分たちの存在を
     アピールする場であり、結果として予防法務的な意義もあると考えています。」

上記は全くの同感です。
特に、新入社員にとって法務部門はかなり敷居が高い存在です。
そこで、研修を通して、法務部門・担当の役割や人となりを知って貰うことで、
法務担当に相談しやすい流れを作る必要があるかと思います。
但し、研修の内容や進め方を工夫しないと、余計に敷居の高い存在となってしまう
可能性はありますが(笑)

なお、私は研修の開始前後で

「研修で勉強したことをこの場で全て理解することは不可能です。
ただ、この研修を通して、『何となくこれは法的なリスクがありそうだな。
そういえば以前の研修でこのポイントについて法務担当が話していたから、
研修で使ったレジュメを読み返してみよう。もしくは講師の法務担当に
相談してみよう。と、皆さんが考えることが出来るようになれば、
この研修は成功かと思います。
なので、法律用語が出てきても難しく考えずに、リラックスして研修に
参加してくださいね。」

というようなことを言うようにしています。

後は、リラックスしすぎて受講者が寝てしまわないように(笑)、講師が一方的に
話す形式ではなく、受講者参加型の研修となるように、研修内容・方法を
工夫していきたいものですね。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 01月号 [雑誌]BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 01月号 [雑誌]
(2011/11/21)
不明

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主に、週末にブログを更新する予定です。

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