その取引基本契約は万全ですか? BLJ 2011年5月号

遅ればせながら、ずっと積読していた「Business Law Journal 2011年5月号」を最近やっと読むことが出来ました。

2011年5月号では、「その取引基本契約は万全ですか?」という特集があり、弁護士や現場の法務担当者が、取引基本契約書の修正について解説、コメントをしておりまして、契約審査の業務を担当している私としては参考になりました。

参考になった個所を、備忘の為に、以下に記載しておきたいと思います。

まずは、資源・エネルギー系専門商社で法務をされている方のコメントから

^^^(以下、本誌抜粋)^^^^^

もし契約書に条項を定めなければ民法や商法が適用される。しかし法律通りでは自社にとって不利な場合があるから、特約として契約書に規定している」という理屈が分っていなければ交渉も出来ません。その前提としては、民法や商法の定める内容が自社のビジネスにとって有利なのか不利なのかという点の理解が必要です。ですから、担当者には本来、契約書に書かれた内容だけでなく、「もしそれが契約書に書かれていなければどうなるか」というところまで読めるようになってほしいのです。

^^^^^^^^^^^^^^^^^

上記は至極その通りで、契約審査担当が営業担当者に条文の修正依頼を伝える場合、例えば、「当社:買主、A社:売主(下請事業者には該当しない)」という売買契約書(請負契約ではない)のケースで、

「瑕疵担保期間が明記されていませんので、A社の納入後1年間とするよう交渉をお願いします。」

と、交渉窓口となる自社の営業担当者に伝えるだけダメで、

「今回の契約書には瑕疵担保期間が明記されていません。原文通りとなりますと、商法第526条が適用されて、瑕疵担保期間がA社の納入後6ヶ月間となってしまいます。当社は、当社の顧客との契約書で、1年間の瑕疵担保期間を設定していることもあり、今回の契約書の瑕疵担保期間を、A社の納入後1年間とするよう、修正の交渉をお願いします。」

と、しっかり修正が必要な法的理由まで伝えないと、営業担当者は真剣に交渉に臨まないでしょう。

しかし、上記の修正依頼をした後、A社から以下の様な回答が来た場合はどうすればいいでしょうか。

「御社(当社)と御社の顧客との契約書の内容は、弊社(A社)には関係のないことです。法律(商法第526条)では、瑕疵担保期間は6ヶ月間と決まっているので、原文通りでお願いします。」
と、法的な根拠に基づいて反論された場合。

この場合は、「契約自由の原則」を持ち出すか、もしくは、

「では、瑕疵担保期間は原文通りで結構です。なお、民法第176条によりますと、物件の移転は当事者の意思表示によって効力を有するそうです。その為、今回の契約書第○条で定めている所有権の移転時期は、『当社の提示した注文書が貴社に承諾された時』に修正して頂けないでしょうか。法律でそのように決まっていますので」

とでも回答してやりましょう。
但し、上記の回答をした場合の責任は負いかねませんが・・

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 05月号 [雑誌]BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 05月号 [雑誌]
(2011/03/19)
不明

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書籍:スパイのためのハンドブック

今回は、元ロシア外交官の佐藤優氏が推薦図書に挙げていた
「スパイのためのハンドブック」という本を、暇つぶしの為に(といっても、
決して暇なわけではありませんが・・)読んでみました。

本書は、イスラエルの諜報機関「モサド」に所属してスパイ活動をしていた
ウォルフガング・ロッツ氏が書いた本で、出版は1982年とけっこう古く、
題名からはキワモノ的な雰囲気が漂っています。
しかし、本書では、スパイとしてのスキル(尾行や偽装等)をアップする為の
自主練習の方法や、プライベートの過ごし方、退職後の生活設計まで、スパイ実務の
細かい部分まで書かれており、また、スパイ希望者に限らず、現代の実生活にも
活かせそうな記述もあり、面白くて一気に読んでしまいました。

本書を読んで、実際のスパイ活動は、映画の「007」や「ボーン・アイデンティティー」、
「ミッション・インポッシブル」のように、ハラハラドキドキなアクションばかりではなく、
ほとんどは地味な活動が主であることが分かりました。
(といっても、ロッツ氏の言うことがスパイの全てを表しているとは思いませんが・・)

さて、本書で心に留まった箇所を、備忘の為に以下に書き留めておこうと思います。

^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^

囚われの身になったスパイが沈黙を守り通し、尋問者に(嘘八百以外は)何も
話さなかったと言う話は、尋問の係官がいい加減な仕事をしないかぎり、
まったく虚構の世界に属する出来事である。給料分の働きをしている尋問者なら、
あなたに知っていることのすべてをいわせるだろう。
これは、はしかや所得税のように避けては通れない現実であり、秘密情報部が部員に、
逮捕されたら沈黙を守れと勧告するのをあきらめてからすでに久しい。
そんなことをいっても、まったく効き目がないのである。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^

ということで、外部に漏れてはマズイ様なスパイ機関内部の秘密情報は、
そもそも必要最小限のスパイにしか教えない様、スパイ同士の接触は
「疫病のように」避けられ、スパイは厳重に分離されるようです。

これは、現代の秘密情報管理にも言えると思います。
いくら情報管理の教育を徹底しても、ガチガチの秘密保持誓約書を受領しても、
秘密情報が漏洩する可能性はあるわけです。
その為、当たり前のことではありますが、必要最小限の人にしか秘密情報を
開示出来ない様な仕組みを作るべきですね。

^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^

一分のすきもないニセ経歴というようなものはなく、したがって完璧な偽装も存在しえない。
もっともらしいニセ経歴を組み立てるこつは、主として、それらしい事実にたっぷり
細部を肉付けし、避け難い弱点をより目立たなくすることになる。
あなたが2+2が4に等しいことを証明でき、それをじゅうぶん頻繁に繰り返すなら、
人々は2+Xも4に等しいと思うようになる。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^

ということで、「木の葉を隠すなら森の中」ということでしょうか(←違うかな・・)。

この考え方は、契約書審査にも応用出来ます。
私は、秘密保持契約書を、1日に少なくとも1件はチェックしていますが、
どれも同じような内容なので、ほとんど流れ読みで対応しています。
しかし、例えば、仕入先から提示された秘密保持契約書の中に、当社が独占的な
販売代理店では無いにも関わらず、
「甲(当社)は、乙(当該仕入先)の製品との競合品を取り扱う事を禁止する」という条文が
紛れ込んでいることがたまにあります。

上記の文言は、特に外資系会社や海外企業から提示された英文契約書に、
定められていることが多いような気がしますが、ただの秘密保持契約書と思って
見逃してしまう方も多いのではないでしょうか。

これは、自社が提示する契約書にも言えますが、相手先に不利な文言を契約書に
定めたい場合、単純に、第1条だけを設けて、不利な文言を定めた覚書を作成、
提示した場合、その不利な文言に相手方がフォーカスしてしまい、修正依頼を
受けることは避けられないでしょう。

従って、俗に一般条項と呼ばれる、当たり障りの無い条文を回りに散りばめて、
相手が不利な条文にフォーカスしない工夫をすることも、場合によっては必要だと思います。
(ただ、自社の営業担当者から、もっとシンプルな内容にして欲しいと指摘される
可能性も十分ありますが・・)

<目次>
第一章 あなたのスパイ能力をテストする
第二章 スパイはどこからやってくるか?
第三章 スパイの養成
第四章 第二の皮膚
第五章 手がかりを与えるな
第六章 スパイと異性
第七章 功績に対する金銭的報酬
第八章 大きな嘘には小さな真実を混ぜよ
第九章 拘置所、刑務所、懲冶監
第十章 引退したスパイ

スパイのためのハンドブック (ハヤカワ文庫 NF 79)スパイのためのハンドブック (ハヤカワ文庫 NF 79)
(1982/03/30)
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