書籍:国際契約交渉のキーポイント-(2)

前回、表題の書籍『国際契約交渉のキーポイント』を取り上げさせて頂きましたが、
もう一箇所、「弁護士に対する質問の仕方」に関する記述が参考になりましたので、
以下に備忘の為に書き留めておこうとおもいます。

^^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^

(1)Yes/No式の答えを期待する場合
細かいことを知りたいときには、質問を細かくし、答えもほとんどYes/Noでしか
できないくらいにして聞くのがよい。
よく日本人の物の聞き方に、「貴国の所得税についてご教示下さい」とか、
「貴国の担保制度について教えてください」というのがあるが、これでは、
相手からかゆい所に手が届くような答えを期待するのは無理であり、
どぶに金を捨てることにもなりかねない。
相手にしてみれば上っ面だけ書いたとしても何冊もの本が書けるに違いない問い合わせに対し、
実務まで配慮した答えが一体どうして書けようかということになる。

(中略)

弁護士というものは、間違った意見をだすことをおそれるものである

(中略)

弁護士にしてみれば、具体的なケースを知らずに確定的な意見を出すことは自殺行為にも
等しいからである。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
私も以前、ある国の瑕疵担保責任に関する規定の内容について、日本の国際弁護事務所の
先生に確認した所、法律の教科書の抜粋のようなコメントしか貰えませんでした。
その時は「手を抜いたコメントだな~」と思いましたが、今考えますと、その弁護士が
具体的なアドバイスを提供出来るだけの前提条件・情報をこちらが提供し切っていなかったと思います。

例えば、一企業の法務担当が、自社の営業担当者から
(営)「この契約書にはいくらの印紙を貼ればいいですかね~」
という質問を受けた場合、
(法)「(心の中 「請負に関する契約書」にも「継続的な取引に関する取引」にも該当しそうだけど、
    どちらに該当するか微妙だな~。
    とりあえず200円の印紙を貼っておいて税務署に否認されたら「見解の相違です」、とでも
    言っておけばいいや)
    200円ですね。」

というような安易な判断に基づいてコメントすることもあるか思いますが(私はちゃんと調べますが(笑))、
そのコメントが間違っていた時のデメリットは、過怠税の支払いと、税務署の印紙税に対するチェックが
厳しくなる位で、それ以上の大きなマイナスはありません。

しかし、弁護士の確定的なコメントに基づいて企業が何らかの判断を下し、そのコメントが誤っていた為に
多額の損害を被った場合は、その弁護士は善管注意義務を問われる可能性もあるわけで、
必然的にそのコメントは保守的になる傾向があると思います。

弁護士から具体的なアドバイスを求める場合は、こちらもそれ相応の具体的な前提情報を提供する
必要がありますので、留意したい所です。

国際契約交渉のキーポイント国際契約交渉のキーポイント
(1998/01)
中村 秀雄

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テーマ : ビジネス
ジャンル : ビジネス

書籍:国際契約交渉のキーポイント

本書は、以前このブログで取り上げさせて頂いた中村秀雄氏著の「英文契約書作成のキーポイント」
姉妹本で、著者は商社の丸紅で25年間国際法務を経験していることから、本書では理論一辺倒ではなく、
実務に沿った契約交渉の心得を解説してくれます。

本書の題名が地味なせいか、アマゾンには一切レビューがなく、表紙の画像すら登録されていない
注目の無さぶりですが、発行が約10年前と少し前であることを差し引いても、隠れた良書だと思います。
そんな本書には参考になる箇所が多数ありますが、その一つで、交渉が行き詰ってしまった時の
心得について書かれた箇所を読んで考えさせられましたので、以下に書き留めておこうと思います。


^^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^^^^

行き詰まりに陥ったときに頭においておかねばならないことは、いくら終結を急ぎたいからといって、
相手が強情であるという理由だけで譲歩したり、相手の担当者の信頼におぼれて ―― つまり
署名してからでも追加修正契約の締結などの形で何らかの誠意ある対応をしてくれるに
違いないなどとたかをくくって ―― 中途半端に妥協してはならないということである。
契約書はいったん署名されてしまえば、落下し始めた物体と同じで、絶対にもとに戻せない。
特に、相手が自分に有利に締結した契約をいかなる事情があろうとも、少しでも不利になるように
書き換えたり、読み直してくれると期待するのは、落下する物体に元へ戻れと願うようなものである。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

上記の事項は、国内外を問わず、契約交渉をする上では当たり前の事項ではありますが、
なかなか難しい問題でもあります。

特に、契約交渉相手が自社よりも立場が強く、一切契約書の修正には応じないというスタンスの上に、
原文通り締結出来ないのであれば取引出来ない、と強行に主張してくる場合。
交渉の最前線の営業担当者からは、製品の単価や支払条件を除き、瑕疵担保条項や契約解除条項等、
契約締結後、直ぐに問題が発生してこないような一般条項に不利な内容があっても、
「実際は双方で協議して解決するから原文通りで問題ないのではないか!」「一旦原文通り契約して、
条文修正については後で交渉を進めれば良いではないか!」と相談されるケースは結構あります。

ガツガツ交渉した結果、相手が条文の修正に渋々応じてくれればもちろん良いですが、
条文の修正については全く取り付く島がないけど取引は是非ともしたい、という場合は、
後から条文の修正に応じてくれるのではないか、という淡い期待は持たずに、

①少しでも自社に有利な方に条文を解釈出来ないか相手方に確認して議事録に残しておくか、
②○○条を除いた契約条件については承諾する旨の書面を契約書に添付し、当該書面と契約書に
 割印をして提出する(←添付することに相手方が承諾すればの話ですが)

等の対応が必要であると思います。
(個人的に思いつく対応策を記載してみましたが、他に何か有効なものがあれば、教えてください・・)

いずれにしても、相手方が強硬だから取引を優先して安易に締結しちゃおう、ということは
無い様に心がけたい所です。

英文契約書作成のキーポイント英文契約書作成のキーポイント
(2006/02)
中村 秀雄

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国際契約交渉のキーポイント国際契約交渉のキーポイント
(1998/01)
中村 秀雄

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書籍:弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28

本書は、先日このブログでも取り上げさせて頂いた「小説で読む民事訴訟法」の
著者(弁護士)が書いた本で、分り易くて論理的な文書を書く秘訣を教えてくれます。

著者は、「文書を書くということは、読み手にサービスをすることです。」と
本書で主張する様に、独りよがりでは無く、読み手の事を考えて文章を書くべきである、
と繰り返し述べています。

以下に、個人的に心に留まった本書の一部を書きとめておこうと思います。

^^(以下、本書抜粋)^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「どんな場所でもすっと読める文書」がよいということです。
書く側に立つと、あれもこれもと情報をつめこみたくなります。
「私はこんなことも勉強していますと。知っていますよ」ということを
アピールしたくなります。「こんなにたくさんのことを知っているのですよ」と
いうことを、ぜひとも伝えたくなります。
そんなときは、その文章を書く「目的」をもう一度思い起こしてください。
読み手に伝えたいことがあってはじめて、その文章がある。
伝えたいことがあってはじめて、その文書がある。
伝えたいことを伝える手段として、その文書を書く。
そのことが重要です。
そして、その伝えたいことを相手に誤解無く伝える。

(中略)

気合いを入れて書いた文章ほど、あなた自身はじっくり読み返すでしょう。
しかし、読み手の立場からは違います。
忙しいなかで、読まなければいけない文書の一つとして、眺めるだけです。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

私は仕事柄、一日にたくさんのメールや書類に目を通しますが、
一見しただけでは何を言いたいのか分らない文章に出会うことがしばしばあります。
頭が良いことをアピールしたいのか、不必要な細かい論点にも触手を伸ばした文章を
書いて読み手を混乱させ、かえって頭の悪さを露呈してしまっている方もいます。
(↑何か偉そうですみません・・)

本書には、読み手のことを考えた文章を書くヒントを28個取り上げており、
自分で良いと思ったヒントを何個か実践するだけでも、読み手の側に立った
分り易い文章が書けるようになります。

本書自体も非常に分り易い内容で、2時間もあれば全部読めてしまいますので、
一読されることをお勧めします。

弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28
(2009/03)
木山 泰嗣

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