FC2ブログ

民法(旧法)が適用される基本契約書に基づいて新法施行後に個別契約を締結した場合に関する一考察

1.民法(旧法)が適用される基本契約書に基づいて新法施行後に個別契約を締結した場合

今般は、「製造 (【Q&Aでわかる業種別法務】) 」(日本組織内弁護士協会 (監修)、髙橋直子氏、春山俊英氏、岩田 浩氏 (編集))という本を読んでみました。

さて、早速ですが、本書で心に留まった箇所を抜粋させて頂きます。


(2)取引基本契約との関係

取引基本契約との関係では、同契約の最初の締結が施行日前でも、施行日後に当該契約を更新すれば新法が適用されます。取引基本契約書本体に旧法が適用されていても、当該契約に基づく個別契約が施行日後に締結された場合、個別契約には新法が適用されます。

この状態で紛争が発生した場合、当該紛争が個別契約と取引基本契約書のどちらかの契約の問題であるかで、適用される民法の規定が異なることになります。この混乱を避ける為、契約当事者間で施行日直後に取引基本契約書を意図的に更新することもありうると思います。(ただし、実務的には、その前提として新法の影響を考慮した契約の修正交渉が必要になる場合も多いと考えられます)



著者の指摘通り、トラブル予防の選択肢としては上記手段もあるかと思いますが、全て上記の通り対応するのはなかなか難しいでしょうね。



2.別の選択肢(個別契約に優先順位を明記)

また、個別契約を締結する際、「旧法が適用される取引基本契約書には新法が適用される」と個別契約書に明記して締結する選択肢もあるかと思います。

ただ、何でも新しい方が良いというわけは無いのと同様、どんなケースでも新法の方が旧法よりも自社に有利とは限りません。

「取引基本契約書の締結を検討している際、この条文は下手に契約書に定めるよりは(当時の旧法)民法で解決した方が当社に有利なので、取引基本契約書には何も定めないことにしよう」と判断して締結するケースもあるかと思います。

そのテーマについて、民法ではなく新法が適用されると当初の目論見から外れる可能性もあるわけで、一律に「新法を適用 = 正」として対応を進めることも不正解となる場合もあるかと思います。



3.別の選択肢(個別の論点だけ手当)

ということで、もし、旧法よりも新法の方が自社に不利な項目があれば、その項目だけ個別契約で手当てする方法もありますね。

しかし、注文書の末尾に小さい文字で上記手当を明記しても、「相手方からの削除・修正依頼を受けてなかなか注文書の取り交わしが進まなんだけど、削除しておk?」という営業部門からの苦情・問い合わせが想定されますので、この選択肢も現実的ではないかもしれません。



4.最後に

なお、当社では今の所、上記問題を解消する特段の対応は進めていません。

今は法務から離れているので、現在の法務担当がこの問題をどう決着させるつもりなのか、もしくは、そもそもこの問題を把握しているのかどうなのか分かりませんが、隣の部署からこっそり見守ろうと思います。



[その他、参考になった事項]
・合弁契約書にて議決権行使等に関する合意をした場合でも、相手方が契約違反をした場合、現実的には相手方に賠償請求を求めるにしても損害額を立証することが難しく、補償が実現することは難しい。また、合弁相手ということもあり、合弁関係を継続させる場合は訴訟を起こすことも難しい。

その為、当事者間の合意に拘束力を持たせたい場合は定款に明記する等、会社法上の制限が掛かるようにした方が良い。


[hitorihoumu]
上記と同じような話かもしれませんし、違うかもしれませんが、合弁会社の新設に関する株主間契約において、新設会社の義務、制限項目を当該合弁契約に記載しても、新設会社は株主とは異なる第三者となる為、直接的な拘束力があるのかどうか不明となります。

その為、新設会社の義務、制限等を設けたい場合は定款に定めたいものですね。

なお、「この点は株主間契約ではなく定款に定めることにしましょう」となった場合で、合弁会社の設立に関する現地での法的手続きを相手にお任せしている場合、特に海外で法人を設立する場合は、現地当局に当初の話とは異なる定款が届出、認可されている可能性がありますので、最終的な定款を入手して確認した方が良いですね。

合弁契約書に「この点は定款に〇〇と定める」と書くは一般的ではないかと思いますが、せめて、最終的な定款(現地語)を入手して合意通りの内容となっているのか確認したいものです。

会社を設立して数年後、合弁会社とトラブルになって初めて定款を見てみたら、「こんなことが書いてあるとは知らなかった」となり、「このように定款に定める予定だった。」「いや違う。」という水掛け論にならないようにしたいものですね。



QA_seizou_convert_20200718103516.jpg



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
すぐに使える! 税務の英文メール
(Sam Reeves氏、中島礼子氏、小林誠氏著作)

zeimu_eibu_convert_20200718103620.jpg



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
(先崎 学氏著作)

utu_convert_20200718103558.jpg




<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
経理・財務担当者のための「経営資料」作成の全技術
(あずさ監査法人アカウンティング・アドバイザリー・サービス事業部 (編集))

keieisiryounosakusei_convert_20200718103538.jpg
スポンサーサイト



この度、財務経理部門の責任者になりました(プレイングマネージャーから管理者へ転換する上での心得等)

1.前略。父さん、この度、財務経理部門の責任者になりました。

これを書くと、もし、本ブログを当社の社内の人が見ていたら私が身バレするかもしれませんが、そんな人はいないでしょうし、身バレしたとしてもそんなの関係ねぇということで書きますが、この度、社内の色々な人事の都合もあり、現在所属している財務経理部の責任者になることになりました。

これまでも役職上は管理職となっていたものの、プレイングマネージャーの「プレイヤー」の割合の方が大きかったのですが、今後は正式に部下(注)を持ち、部内の人事評価、勤怠評価等にも関与する責任者となりました。

(注)「部下」というとなんだか偉そうな感じがしますし、「お前に部下なんて言われたくない」という部下もいるかもしれないし、いないかもしれないし、そもそも、当社の社内では「部下」なんて表現は一般的には使いませんので、チームのメンバーというというような柔らかい表現にしようかと思いましたが、ここでは分かりやすく「部下」という表現を使いたいと思います。



2019年1月13日に


この度、社内転職(と言ってもただの社内異動)をすることになりました
http://hitorihoumu.blog47.fc2.com/blog-entry-616.html



という記事をUPしてから約1年半が経った中でのこの異動に正直、戸惑いもあります。

当社、他社での勤務に限らず、財務経理に係る下積み期間を経て基本的な業務を身に着けつつ、徐々に上に上がっていったというよりは、財務経理業務の十分な経験値、スキルが無い中で責任者となってしまったので、どうなることやらという感じです・・。

ただ、どんな人事異動にも十分な準備期間を設けて実施される異動は無いということで、折角与えて貰ったチャンスを活かして、これを機にマネジメント経験を積んでいきたいと思います。

最近、責任者になってみて個人的に気付いた点を、まだ就任して間もなくて気持ちが新鮮な内に超個人的な備忘として以下に書き留めておきたいと思います。

数か月後にまたこの記事を見に来て達成振りを振り返ろうと思います。

かなりポエム感が強い抽象的な話が続きますので、興味が無い方はそっと画面を閉じてください・・・。



2.気付いた点、留意が必要と感じた点
(1)早死にしたくなければ「自分でやった方が早い」病は早く治療しないとマズイ

なお、これは決して私の肉体的な死を意味しているわけではなく、部門としての業務停滞=死を意味しています。

「〇〇さんちょっといいですか?」と相談されたややこしい案件について、これまでのように来る仕事拒まずでプレイヤーとして引き受けていると、責任者として承認しないといけない書類(最近は1Q決算の開示関係、予算 etc.)、参加が必要な重要会議がこれまで以上にたくさんある中、捌ききれない仕事はどんどん溜まっていきます。

そうなると、私が残業をすれば解決出来るレベルなんてすぐに超えてきますし、私の体力は別としても、責任者が目の前の仕事に忙殺されていると部として対応すべき+αの業務に割く時間が無くなってしまいますし、責任者として部下の仕事ぶりを見る余裕は無くなってしまいます。

また、責任者がボトルネックとなって社内における当部自体や部下に対する評価も低いものになってしまいます。

ということで、もう責任者となった以上は、自分がメインで対応していた重い案件はなるべく部内もしくは他部署の人に手放して、責任者として管理する時間の割合を大きく増やしていきたいと思います。



(2)物わかりの言い上司になるべからず

これも良く言われることですね。これまではどちらかというとみんな仲良く、バランス型、調整型で仕事を進めてきましたが、これから責任者として、少なくとも部内の人には言うことは言うようにならないと考えています。

責任者になると色々な人が陳情、意見等を言ってくるようになりましたが、その全てについて何とか実現してあげようと前向きに検討していると仕事が進まないですし、こっちを立てたらこっちが立たないとかややこしい問題も発生していきますので、判断軸をしっかり持って毅然とした態度で対応したいと思います。

とはいうものの、これは言うは易しで、私の性格に人に強く言えないタイプですが、強いことを言うにしても言い方には気を付ければおkということで、徐々にこれまでのスタンスを変えていこうと思います。



(3)どうすれば担当者とは違う目線チェック、承認出来る方法が取れるかを良く考える。

これは「木を見て森を見ず」になるなという言葉にも通じますね。

財務経理部では、細かいところでは日々の会計伝票、インターネットバンキングの支払い承認、重いところでは決算の開示書類のチェック等、色々とチェックすべき書類、データがあります。

何かの書類をチェックする際、担当者と同じチェックポイントを見てるだけであれば、ただのチェッカーとなってしまいますし、膨大な書類がどんどん机のトレイに積みあがっていく中、時間がいくらあっても足りません。

その為、もっと大局的な視野に立って、目の前の資料等に異常値は無いか、違和感を感じるものは無いかという視点でチェックしていきたいと思います。



(4)テレワーク下での管理部門の人事評価の難しさ

テレワークはいいですが、在宅勤務で目の前に部下がいない中で、特に営業部門のように目に見える成果物が無い管理部門の人事評価をどうやっていくのか、これはなかなか難しいですね。
これはどの会社でも同じような課題を抱えられているのではないでしょうか。

遠隔でも部下の状況を良く把握して適正、十分な評価が出来るように、上記1.にも通じる話ですが、目の前の仕事に忙殺されないように、仕事をどんどん下や横に振って手を空けて部下のマネジメントをしていきたいと思います。



3.最後に

とりあえず今の時点で個人的な課題として感じていることをつらつらと書いてみました。
今後も新たな気付きが出てきたら、こちらに加筆していき、たまに思いついたら覗くことで初心忘るべからずでいこうと思います。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
実例でわかる 中国進出企業の税務・法務リスク対策~法制度から現地の商慣習まで
(PwC税理士法人 簗瀬 正人氏、金誠同達法律事務所 趙 雪巍氏著作)

[本書で参考になった内容等]
・中国の外国為替管理上、1回当たりの送金が5万ドルを超える非貿易取引(ロイヤリティ、コンサル等)の決済に際しては、国家税務局受領押印済税務届出書の提出が必要
             ↓
中国法人が日本法人に上記送金をする上で、税務当局が当該非貿易取引は損金処理が認められない費用(損金不算入費用)と認定した場合として、送金に係る届出書への税務当局押印が得られず、その結果、送金(回収)に支障が出るケースがある。
             ↓
契約書さえ結べば送金可能となるわけではないので、特に5万ドルを超える大きな金額の非貿易取引を中国法人と行う場合は、上記税務リスクを念頭にする必要あり。

・外国企業も中国国内取引時(売り・仕入)時には増値税の課税対象となる。
 一般納税者登記をしていない外国企業は、中国国内企業からモノを購入して税務領収証(発票)を受領できても、増値税の申告時において増値税の仕入税額控除が出来ず、コスト増となる。

また、一般納税者登記をしていない外国企業は発票の発行が困難な為、当該外国企業から購入した中国法人としても、増値税の仕入税額控除が出来ず、購入者側もコスト増となる。
             ↓
中国国内の同業他社と価格競争力で見劣りすることになり、納入先の中国企業から相当の値引き要請を受けることになる。

・中国税収徴収管理法第21条により、納税者は正規の税務領収証(発票)の発行、使用、入手が義務付けられている。中国では日本の帳簿方式ではなく、伝票方式が取られているので、増値税が記載された発票の取得が必須となる。

非正規な発票を受領しても費用計上には使えず、発票を入手しない増値税の仕入税額控除、費用計上は認められない。

但し、外国企業との非貿易取引(ロイヤリティ、コンサル等)については発票の入手は不要。

・2018年1月1日に施行された中国の不正競争防止法では、旧法と異なり、取引相手の営業担当等ではなく、取引相手自体に直接支払われる各種費用(奨励金、リベート、サービス費用等)は、原則として商業賄賂とはみなされなくなった。
             ↓
新法の施行後、賄賂の捜査対象は、一定の職権を有する個人、代理人、取引に影響力を有することが出来る第三者となる。

tyuugokusinnsytuu_convert_20200711152704.jpg



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
みんなが欲しかった! 社労士の教科書 2020年度
(TAC社会保険労務士講座 (編集))

[hitorihoumuメモ]
社労士を目指すわけではありませんが、今の仕事(財務経理業務)に活かせるのではないかと読んでみました。

syarousi_minna_convert_20200711152645.jpg




<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
みんなが欲しかった! 税理士 財務諸表論の教科書&問題集
(1) 損益会計編 2019年度
TAC税理士講座 (編集)

[hitorihoumuメモ]
税理士を目指すわけではありませんが、税理士の財務諸表論は財務経理の仕事に役立つという話をネットで目にして読んでみました。とりあえず「(1)損益会計編」だけ読み終わりました。

その後、続編にも手を出すつもりでいましたが、本書は教科書と問題集が一体となった書籍で、受験予定は無いので問題の部分を解く気にはならず、もったいないので、税理士の財務諸表論の教科書だけが書かれた書籍を読み込む方向にチェンジしました。

zeirisi_convert_20200711152716.jpg



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
ケース別Q&A 契約書作成のための国際税務のポイント
(手塚崇史氏著作)

keiyakusyo_zeimu_convert_20200711152632.jpg

<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
あわせて学ぶ 会計&ファイナンス入門講座
(保田隆明氏、田中慎一氏著作)

[hitorihoumuメモ]
これまで、ファイナンス入門のような書籍を色々と読んできましたが、そろそろ基礎編は卒業して、徐々に実務編、応用編に読み進めて行こうと思います。

awasete_nyuumon_convert_20200711152616.jpg


<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
退職給付会計のしくみ(第2版) (【図解でざっくり会計シリーズ】)
(新日本有限責任監査法人)

[hitorihoumuメモ]
本書は本ブログの記録上、2019年8月3月に読んでおり、本書を読むのは今回で2回目となります。

昨年、1回目に読んだときは細かいところは飛ばし読みして何となく理解出来た気になっていたレベルでした。

しかし、今回は実際に当社の退職給付会計の実務に触れた後に読んだこともあり理解度がぐっとUPしましたし、また、読んでいて「あの退職給付関係書類のエクセル計算式はこの処理を意味していたのか」と頭の上にランプが何度か光る瞬間もあり、読んで面白かったですね。あまり触れないように逃げていた退職給付の本を面白く思えるようになるとは、少しは進歩したといえるのでしょうか。今後はもう少し詳しい実務書に進もうと思います。

[本書で参考になった内容等]
・企業が年金掛金を拠出
     ↓
 年金資産が増加
     ↓
 退職給付債務から控除する項目が増加
     ↓
 退職給付引当金(退職給付に係る債務)が減少

・利息費用の発生 = 退職給付費用の発生
    ↓
 退職給付債務(退職給付に係る負債)が増加

・連結財務諸表上、数理計算上の差異等が償却されると、「その他の包括利益」累計額の中にあった数理計算上の差異が退職給付費用となり、当期純利益に影響を与える。

 しかし、数理計算上の差異は既に退職給付に係る負債に含まれている為、償却の前後では退職給付に係る負債の金額は変更無し。
仕訳としては    連結:退職給付費用 / 退職給付に係る調整額(その他の包括利益)

・期首:退職給付費用については期首において当期分を予測する。
 期末:期末における退職給付債務を再計算し、期首との差異が数理計算上の差異となる。

・個別財務諸表は、税法上の課税所得の計算を助ける役割や会社法上の配当可能利益の算定基礎となる役割もある為、上記を含めた各種調整をしない限り、日本の個別財務諸表にIFRSの会計処理を取り入れることは難しい。

・マイナス金利と退職給付の関係としては、
 (1)マイナスの利回りをそのまま使用する方法
 (2)利回りの下限としてゼロを用いる方法があり、企業会計基準委員会が
    平成29年1月に公表した限りでは、どちらの方法でもおkとなっている。
 
taisyokukyuuhu.jpg

海外当局のウェブサイトから入手できる決算書は信頼できるのか?

1.登記情報、決算情報が入手出来る各国当局のウェブサイトの紹介

今般は、「海外債権管理の実務ハンドブック(保阪 賀津彦氏著作)」という本を読んでみました。

本書には、登記情報、決算書のデータが掲載された海外当局サイトの情報が記載されていました。サイトのURLだけが列挙されているだけでなく、当局サイトの画面キャプチャ付きで検索方法、掲載情報、掲載言語、サイトの使い方等について解説されており、参考になりました。

備忘とどなたかの参考の為に、本記事の末尾に、本書に記載されていた、登記情報、決算書をサイトで掲載している各国当局の名称、掲載情報等を箇条書きでまとめてみました。
(本書の著作権を考慮して最小限の情報に限定してまとめています)

取引先の信用調査時に、外部調査機関から有料で調査レポートを取得するほどでもないけど、企業の概要内容をちょっと調べたいという際に活用していきたいと思います。



2.当局のウェブサイトから入手できる決算書は信頼できるのか?

著者は「当局のウェブサイトから入手できる決算書は信頼できる?」というコラムにて、下記2つの理由から「信頼出来る」とコメントされています。

(1)当局サイトに掲載されている決算書は企業が税務当局等に提出したもの。
  粉飾して売上、利益を過大に計上した決算書を提出するとその分、
  課税金額が大きくなるデメリットがあるので、粉飾するインセンティブは少ない。

(2)税金を減らしたいという意図で売上や利益を小さく計上した決算書を当局に提出した場合、
  後々の税務調査で追徴されるリスクが高まるので、まともな企業であれば数字を悪くした
  決算書を提出するインセンティブは働かない。

上記主張にも一理ありますね。

ただ、赤字では取引先や銀行に対して悪い印象を与えるし、一方で、税金は低く抑えたいということで、ちょうどよい最終利益となるように調整(粉飾)した決算書を提出している会社もあるかと思いますので、個人的には全面的な信頼は置けないのではないかと考えています。

(著者も海外当局サイトに掲載されている決算情報は100%信用出来るとまでは言い切っておりません。念の為、補足しました。)


3.こんな取引先は嫌だ(企業調査あるある?編)

以前、当局サイトの決算書情報に関して、こんなことを言ってきた取引先候補(中国企業)がありました・・。



(その1)当局サイトの決算書は信用するなと言われてしまったケース・・

     当局サイトの決算情報を基に作成された信用調査会社のレポートに記載されている
     決算情報が宜しくなかったので(数期連続赤字、債務超過)、内容について質問をしたところ、


    取引先: 上記調査レポートは当社が当局に提出した決算書を基に作成されている。
          当局には税金の免除を受ける為に(それは脱税ではないかと・・)、赤字の決算書を
          提出しており、当該決算書は信頼出来ない。
          ついては、会社が作成したこちらの本当の決算書をベースに検討して欲しい

    当社:・・・。



    ということで問題の無い、好業績の決算書を提出してきました。

    逆に、「多くの中国企業が当局に赤字となるように粉飾した決算書を掲載している中、
    取引先から提示された決算書ではなく、当局サイトの決算書を信頼するなんて
    信用調査方法としてどうかしている、会社の運用方法を改善した方が良いんじゃないか」と
    先方からご教示頂くおまけ付きです・・。

    当局に粉飾した決算書を提示しているのであれば、我々のような取引先に提示する
    決算書も粉飾している可能性があるわけで、全く信用できませんね・・。

    また、仮に逆粉飾しているにしても、公然と粉飾していると取引先に言っちゃう神経が理解できませんね。
    先方が粉飾していると認識した上でそれでも取引していることが後で消費者、第三者に知れた場合、
    特に上場企業の場合はレピュテーションが棄損するリスクがあるので、
    そんなことを平気で言っちゃう会社とは取引出来ない、と考えるかもしれないとイメージが
    働かないのがまたすごいですね。





(その2)単体ではなく連結決算書を見て欲しいと言われたものの・・。

     取引先の決算書(単体)を確認したら数期連続赤字、債務超過で決算情報が宜しくなかったので、
     詳しく理由を確認したところ、

    「今、手元にあるのは単体の決算書なので、連結決算書を送付する。」

    ということで連結決算書の提示がありました。

    どのような会社が連結対象になっているのかを確認したところ、彼らが連結対象としている
    という6社は、同一の株主が各社の株式を保有しているものの
    (そういう意味ではグループ会社)、各社間に資本関係はなく、各社の上層に
    ホールディングカンパニーもないので、提示してきた連結決算書はただ、
    同一株主の複数社の決算書を全て合算しただけで、本当の意味での
    連結決算書ではなかったというケースがありました・・。

    そこそこの規模、信用力のある親会社がいれば、万一、当該親会社の
    子会社にあたる取引先とトラブルになった場合、親会社が何かしら出てきて
    サポート等してくれる期待もありますし、子会社の業績に不安があれば親会社から債務保証を
    取れたら取引するというような選択肢もありました。

    しかし、株主が同じというだけではグループ会社が兄弟会社がサポートしてくれる期待は
    持てないので、何の参考にもならない連結もどきの決算書を提示されたことになります・・。





4.結論=特に非上場企業から提示される決算書は粉飾していると思って接するべし

海外に限らず、日本企業でも粉飾・逆粉飾して数字を作っている会社はたくさんあるかと思います。

その為、国内外企業を問わず、当局サイトから入手した決算書に限らず、特に非上場企業の決算書を目の前にした場合、もしかしたら粉飾しているのではないかという前提で分析、判断する必要がありますね。



5.登記情報、決算書を掲載している各国当局サイト

  ※詳細はP22~を参照

(1)中国
  中国国家市場監督管理総局のサイト内の「国家企業信用信息公示系統」のページで検索

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書 ※任意掲載

  ※中国語版のみ
  ※無料

(2)韓国
  決算情報掲載サイト「DART」(金融監督院の電子公示サイト)
  
  [掲載情報]
  登記情報等
  決算情報

  ※英語版と韓国語版があり、英語版には上場企業しか掲載されていない

(3)台湾
  経済部商業司の商工登記公示資料照会のサイト

  [掲載情報]
  登記情報等

  ※無料
  ※当局ウェブサイトでは決算情報は入手不可
  ※台湾企業の検索は中国語で、外資系企業は英語で検索

(4)香港
  登記局である公示註冊慮綜合資料系統(ICRIS)のサイト

  [掲載情報]
  登記情報等

  ※登録画面が出てくるが、登録しなくても検索可能
  ※当局ウェブサイトでは決算情報は入手不可

(5)タイ
  商務省事業開発局(DBD)

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書(年次報告書)

  ※無料

(6)マレーシア
  マレーシア企業委員会(CCM)

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書

  ※有料

(7)シンガポール
  会計企業規制庁(ACRA)

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書

  ※シンガポール居住者に限り、ACRAのサイトから情報入手可能。

(8)フィリピン
  証券取引委員会(SEC)

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書

  ※有料(数百円)

(9)ベトナム
   National Business Registration

  [掲載情報]
  登記情報等

  ※当局ウェブサイトでは決算情報は入手不可
  ※無料
  ※英語、ベトナム語 選択可能

(10)インドネシア
   企業省(MCA)

  [掲載情報]
  登記情報等

  ※当局ウェブサイトでは決算情報は入手不可
  ※有料
  ※インドネシア語のみ。

(11)インド

  [掲載情報]
  登記情報等
  決算書

  ※有料

(12)欧州・ロシア・中央

   ※本書P46~48を参照
   ※上記地域内での国に関する当局サイトの情報も記載がありましたが、
     私の所属会社が進出している国の情報は無かったので、記載を省略します。。。
     上記国に所在する取引先の信用調査をする機会があれば、
     上記ページを参照しようと思います。

(13)米国
   各州の登記局(Secretary of State)

   [掲載情報]
   登記情報

   ※非上場の決算書は入手出来ない。
     トレードレファレンスで支払い振りを確認するケース多い

(14)メキシコ
   無し
   
   ※登記情報も入手困難


(15)カナダ、ブラジル

   ※本書P48を参照



[その他 本書で参考になった内容等]
・自己資本比率が高くても自己資本額が小さい企業は、
 単に借入や買掛取引が出来ないだけかもしれない点に注意

・コレクションエージェンシーへの依頼履歴は信用調査会社の信用調査レポートに掲載される。
 上記履歴が残ることを嫌がる取引先は、コレクションエージェンシーへ依頼することを
 伝えることで、自主的な支払いを促す効果がある。

・クレジットノートを利用した売掛金の取引条件違反の期日超過のごまかし不正例


[不正対応の流れ]
1.支払期日に支払いが無い場合、入金予定額のクレジットノートを発行して消込
  (クレジットノートは取引先に送付しない)

2.上記1と同時にインボイスを発行
  (インボイスは取引先に送付しない)

3.上記1と2を繰り返すことで、取引先からの入金が遅延していることを
  社内、管理部門に隠蔽



[hitorihoumuメモ]
・イレギュラーな売上のプラス・マイナスが無いかどうかの確認が必要ですね。

・上記不正の応用?として、在庫が停滞していることについて管理部門から指摘を受けることを避ける為、
 長期間、不動在庫になりそうになったら、一度、不良品としてサプライヤーに返品したことにして、
 (もしくはサプライヤーに協力を依頼して返品処理を実際にした上で)、再度、
 入庫して入庫日をリセットする不正も考えられますね。

kaigaisaiken_convert_20200614194315.jpg



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
「経理」の勉強法
(梅澤 真由美氏著作)

keiri_bennkyou_convert_20200614194357.jpg

海外で在庫を保有して販売すること(非居住者在庫を持つこと)が当該地の法令で禁止されている場合があるので注意

1.海外の非居住者在庫に対する制限

当社は顧客から、JIT(Just in Time)な納入が出来るよう、サプライヤーに発注してから納入されるまでのリードタイムを考えて、フォーキャスト(所要計画)に基づいて所定の在庫を確保し、顧客からの注文に応じて直ぐに出荷出来るように在庫運用しているケースがあります。

また、海外に所在する顧客からも同様の要望を受ける場合がありますが、この際に気を付けなければならないのが、海外で非居住者として在庫保有して販売することがその国の法令上、制限されている場合がある点です。

例えば、下記JETROのサイトでは、タイで非居住者(例えば日本法人)がタイ国内に在庫を保有して販売することが出来ないと解説されています。


国・地域別に見る>貿易・投資相談Q&A>非居住者が保有する貨物の通関制度:タイ

Q.当社は、タイに住所のない日本企業です。タイに貨物を送り、タイに住所を有しないまま、
  非居住者名義でタイ国内への輸入通関を行うことはできますか。
  また、非居住者名義でタイから輸出通関や貨物の管理を行うことはできますか。

A.タイでは、非居住者が自己の名義で輸出入申告、積戻し申告を行うことはできません。

(中略)

III. 非居住者による保税地域外における貨物管理

タイでは法律上、非居住者が在庫所有や貨物管理を自己名義で行うことができないとする明文化された規定はありません。ただし、タイで輸入者または輸出者になるためには、上記のように事業を行う法人をタイに設立する必要があるため、輸出入通関が伴う場合には、非居住者が自己名義での在庫所有や貨物管理をすることは実質的には困難といえます。

https://www.jetro.go.jp/world/qa/04K-120306.html





2.フィリピンでは、国税局(BIR)は非居住者在庫を認めていないけど、PEZA(フィリピン経済特区庁)は認めているというように、行政によりスタンスが違う場合もあるので注意

ややこしいのは、海外の行政内でも上記のように非居住者在庫に対するスタンスが異なる点は注意が必要です。後々、揉めたくないですからね。

例で挙げたフィリピンの日系企業では、フィリピンに現地法人を有しておらず、非居住者在庫でしか対応できない日本のサプライヤーとは取引しないという方針にしているところもあります。



3.海外に所在する倉庫が恒久的施設(PE)認定されるリスク

PEとは何かについては、JETROの下記解説ページを参照下さい。


国・地域別に見る>貿易・投資相談Q&A>恒久的施設(Permanent Establishment: PE)とは
https://www.jetro.go.jp/world/qa/C-170203.html



ここで注意が必要なのは、上位HPにも解説の通り、「日本企業が他国に有している施設等がPEに該当するか否かの判定は最終的には当該国の税務当局の取り扱い次第である点」となります。

OECDモデル条約では、以下の通り、海外に所在の倉庫はPEとはみなされないと定められています。しかし、国によっては、在庫保管している倉庫もPE認定されて、当該倉庫により生じた事業所得について当該海外の税務当局に課税されてしまうリスクがあります。詳しい事例は「倉庫」、「PE」をキーワードにググればいくつか出てきますので、興味のある方はご参照ください。

その為、海外で在庫販売することを検討する際は、法令上、非居住者在庫を持つことが出来るかどうかの確認に加えて、税務リスクを負わないかどうかの確認も必要です。


[上記HP(抜粋)]
1.OECDモデル条約
PEは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部、または一部を行っている場所と定義され、OECDモデル条約では、PEの範囲に次のものが含まれます。

a.支店PE
事業の管理の場所、支店、事業所、工場、作業場、鉱山、石油または天然ガスの抗井、採石場その他天然資源を採取する場所は、PEに含まれます。

b.建設PE
建設工事現場又は建設もしくは据え付けの工事については、12カ月を超える期間存続する場合にはPEを構成するものとみなされます

c.除外規定
上記に該当しても、次の場合には、PEとみなされません。 i.企業の物品又は商品の保管、展示または引き渡しのためにのみ施設を使用する場合
ii.企業の物品又は商品の在庫を、保管、展示または引き渡しのためにのみ保有する場合
iii.企業の物品又は商品の在庫を、他の企業による加工のためにのみ保有する場合
iv.企業のために物品もしくは商品を購入し、または情報を収集することのみを目的として事業を行う一定の場所を保有する場合
v.企業のためにその他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有する場合
vi.aからeまでに掲げる活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有する場合。ただし、こ   の活動の性格が、全体として準備的、補助的なものである場合に限ります。

※下線はhitorihoumuが追加





4.1つの解決策:商社を介在させて取引すること
上記制限は国毎に異なりますので、現地の弁護士事務所やフォーワーダーに確認するなりして、安請け合いしてうっかり法令違反しないように気を付けたいですね。

もし、非居住者在庫が認められていない国で顧客に対するJIT(Just in Time)対応が必要な場合、現地に所在する商社を介在して取引することも選択肢の一つとなります。By 商社マン



5.商社の在庫リスク

商社としては、商社の役割として資金負担して在庫を保有して販売する代わりにマージンを貰う立場ではありますが、在庫が長期にわたって不動化するリスクは負いたくありません。

特に、不特定多数に販売出来るカタログ品・汎用品であれば他に販売する選択肢もありますが、特定の顧客にしか販売出来ないカスタマイズ品であればなおさら、長期の在庫リスクは回避したいところです。

その為、


商社が顧客のフォーキャスト(所要計画)に基づいて現地で在庫を保有後、〇ヶ月が経過した際に在庫が残存していた場合、顧客は当該残存在庫の全てを買い取る。



というような覚書を顧客と交わした上で在庫取引を開始するように運用しています。

しかし、いくら契約で合意していても、所要が減少しているから今すぐには買い取れないとか何とか言われた場合、特に長くて太い取引をして頂いている重要な顧客が相手の場合、買い取りを求める裁判をするわけにもいかず、約束された期間を経過した後も在庫を保有せざるを得ないケースがあります。特に現在のコロナ影響下ではその傾向が強く出ています・・。

このような場合は、出荷停止を暗にチラつかせて顧客のラインがストップしますけどいいんですかと(ソフトに)攻めてみる、日系の現地法人であれば、日本の親会社にプレッシャーを掛ける等の地道な対応を進めていますが、なかなか万全の対応策は無いですね・・。



<超個人的な備忘メモ(最近、読み終わった本)>
コーポレートファイナンス 戦略と実践
(田中 慎一氏、保田 隆明氏著作)

[本書で参考になった内容等]
・PERの分母は純利益の為、純利益がゼロに近くなるとPERは高くなってしまう。
 成熟した業界で良く見られる傾向。

・ROICを計算する際、総資産の内、営業利益を生む出す「事業投下資産」だけを分母に使う
 営業利益を生まない「非事業用資産」は除外する。

・ROICツリーの構成

・フリーキャッシュフローの計算式
 
   営業利益
  ▲営業利益に係る税金
    税引き後営業利益(NOPLAT)
  +減価償却費
  ▲設備投資額
  ▲運転資本増加額 
  フリーキャッシュフロー

・目標とする資本構成はどうやって求めるのか?
 実務上は類似企業をベンチマークして決めるのが一般的。
 多くの同業他社が採用している財務戦略に基づく資本構成は広く支持されていて、
 それなりに正しいという暗黙の了解がある為。
 資本構成を理論的に導くにはどうするかという学問は存在するが、実務上は当事者間の納得感、
 分かりやすさがより重要視され、上記方法が採用されていることが多い。

・WACCを計算する際、エクイティには時価総額を使う。純資産ではない。
 株主は、時価総額をベースに期待リターンを提供しないと満足してくれないから。

・はるか遠くの未来のキャッシュフローは現在価値にするとゼロに近くなる。

・DCFによるバリュエーションの為に事業計画を策定する際は、
 買収することが最終目標になってはいけない。手段と目的を混合してはならない。

・市場の慣行としては36ヶ月のβ(ベータ)を使うことが多い。
 日経新聞、ロイターがインターネットで無償公表しているβ(ベータ)は
 直近36か月間の株価の動きから計算している。
 恣意的にβ(ベータ)の期間を変更して計算に使うことは控えるべき。

・企業にとっての関心毎は株価が上がることであるが、それ以上に重要なのは
 株価が下がらないこと。
 →IRでコアターゲットとすべき投資家は既存株主。

・機関投資家の投資パフォーマンスの評価は、いかに市場のベンチマークに勝つかであり、
 ベンチマークを基準にオーバーウェイト、アンダーウェイトの判断を繰り返して取引している。
 その為、個人投資家の取引の仕方とは違ってくる。

・IRの目的は流動性の創出

・DCF法は未上場企業でも適用可能であるが、将来予想されるフリーキャッシュフローが
 読めないベンチャー企業にはDCF法は使えない。

・想定時価総額を算出する際に業界平均PERを求める際には、平均PERではなく、
 類似企業のPERから最高値、最低値を除外した中央値を採用する。
 最高値、最低値を含めた平均値では、この2つの数字の影響が大きく出てします。

・ざっくりとした水準数値
 
 ROA 5%
 営業利益率 6%
 ROE 10%
 EBITDAマルチプル 8倍
 PER 15倍

senryaku_jisen_convert_20200606115208.jpg

「繰延税金資産」は、ゆで太郎の無料クーポン券のようなもの

1.繰延税金資産について良い例えを使った解説記事の紹介

会社が定期購読している週刊 経営財務 2020年4月27日号が、在宅勤務体制によりだいぶ遅れましたが、私の手元に社内回覧されてきましたので読んでみました。

上記冊子の中では、公認会計士 溝口聖規氏が書かれた「会計知識録 (企業の会計・財務活動を解読)」というテーマの「第1回 繰延税金資産の取り崩し」という記事が目に留まりました。

溝口先生は、繰延税金資産を飲食店のサービス券のようなものと例えて、以下の様に解説されています。

以下は上記該当文章を私が簡潔にまとめたものです。


(飲食時)
・手元所持金 1,000円のみ
・飲食店で700円の食事をした
・会計時に次回使える500円のサービス券を受領

この時、実質的には200円(700円-500円)で食事が出来たことになり、
500円分が税金費用のマイナスと考える。

そして、飲食後、手元にある500円のサービス券が繰延税金資産に相当する。

(飲食後)
・手元資産 800円
・手元所持金 300円
・500円のサービス券



繰延税金資産を飲食店のサービス券に例えて解説されたものは個人的には初めて目にしましたが、非常に分かりやすい例えですね。

今度、繰延税金資産について解説する機会があれあ借用させて頂こうと思います。



2.ただ、単純なサービス券では少し違和感も・・・

溝口先生は、繰延税金資産の取り崩しも上記サービス券を例えしてあげて解説されています。
その部分を抜粋させて頂きます。


延税金資産の取り崩しを、先ほどのサービス券の例を使ってイメージしてみましょう。

このサービス券には使用期限があります。使用期限は2か月後です。2か月を経過すると紙くずになって500円分の飲食の価値は無くなります。500円のサービス券は、用途が限定(特定の店舗での食事のみ)され、現金化はできません。あなたは2か月間仕事が忙しく、サービス券を使用数機会が乏しくなってきました。すると、500円のサービス券の実質的な価値が段々と低下していきます。そして、使用期限を経過するとサービス券は無価値になります。繰延税金資産も同様に、将来の活用機会(課税所得の減少)が乏しくなるほど消滅(取り崩し)するというイメージです。



この解説も分かりやすいのですが、少し腹落ちしないのが、使用期限が近くなるとサービス券の価値は確かに低下はするものの、期限までに店舗に持参すれば額面通りの値引きが得られるので、ちょっと繰延税金資産の例えとしては個人的しっくりこない感じです。

そこで、例えとしては何がいいのか色々と考えたところ、個人的には、チェーン系そば屋さんの「ゆで太郎」でたまに配布している、以下のように8つに分割出来て、1回の食事につき1枚しか使えず、また、使用期限が決まっている無料クーポン券が繰延税金資産の例えとしてはよりしっくりくる感じですね。
(ゆで太郎を知らない人にとってはイメージが沸かないかと思いますので、写真を貼っておきます)

回数券のようなタイプのクーポン券で使用威期限があるあたりが、繰延税金資産の回収可能性をも表現出来ているかと思います。

8分の1の券を使って無料かき揚げを貰い、残りの8分の7部分を財布に忍ばせておくものの、全部使うまでに気付いたら使用期限が切れてゴミになるあたりも、繰延税金資産の取り崩しが急に発生して大きな(気分的)損が発生するのと似ていますね。似てないか・・。

ゆで太郎では、キャンペーン期間中は食事をする度に新しい無料クーポン券を毎回くれますが、この点は繰延税金資産とは相違するところかと思いますので、例えに使う場合はこの点はスルーしましょう。

[以下、ゆで太郎の無料クーポン券]
coupon_convert_20200603234951.jpg



3.最後に

「繰延税金資産」と「クーポン券」の2つのキーワードでググってみたら、溝口先生がGLOBIS 知見録という情報系サイトに書かれた上記と同様の例を挙げた繰延税金資産に関する解説がありましたので、気になる方は下記URLの該当ページをご覧ください。

https://globis.jp/article/4331
カレンダー
07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

hitorihoumu

Author:hitorihoumu
38歳 男 二児(+柴犬)の父
主に、週末にブログを更新する予定です。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスカウンター
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: